本研究課題では,複数台のドローンから得られるカメラ画像を用いた複数台地上移動ロボットの協調制御を,視覚フィードバック制御で行う問題に取り組んでおり,研究全体を通してシステム工学的なアプローチにより安定性や性能に理論的な保証を与えることを目指している. 今年度は,障害物回避を考慮したドローンの視覚フィードバック制御に対して,入力状態安全制御バリア関数を用いた実時間最適化手法を提案した.実環境で障害物回避を考えた場合,モデル化されないダイナミクスや未知の入力外乱が,障害物回避を達成するうえでの不確かな要素となって現れてくる.また,ドローンに対して国内における法制度の整備も着々と進んでおり,改正航空法や小型無人機等飛行禁止法では特定の施設やその周辺での飛行が禁止されることになる.これらの問題に対して解決できるように,障害物としては,楕円柱で表されるものを考え,入力外乱が発生する状況でも,指定した建物の上空に対して飛行しないような問題設定を考えた.具体的には,提案した関数が入力状態安全制御バリア関数となることを示し,入力外乱が存在する場合を想定したうえでの,制御リアプノフ関数も考慮した二次計画問題を定式化し,楕円柱障害物を回避するという安全性と目標位置姿勢に収束するという安定性を同時に満たす制御手法を提案した.シミュレーション検証と実験検証の両方を通して,提案した制御手法の有用性を検証している. また,大きく印刷したGoogle Mapの航空画像に対して,地上移動ロボットが建物を避けつつ道路の上のみを走行するように,上空のドローンから得られた視覚情報より目標軌道を生成し,地上移動ロボットに対する位置姿勢制御実験を実施した.昨年度はドローンは固定させていたが,今年度は地上移動ロボットの制御に加え,ドローンも適切なカメラ視野を得られるように制御している.
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