研究課題/領域番号 |
20K04548
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
和田 信敬 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (50335709)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | モデル予測制御 / ロバスト制御 / 機械学習 / 耐故障 |
研究実績の概要 |
2021年度は,研究計画に従い,本研究の基礎となる制御システムの安定性に関する研究に取り組み,基本的成果を得た.具体的には,凸二次計画問題を含むフィードバックシステムについて,リアプノフ安定性に基づく安定条件を導出し,安定条件を線形行列不等式条件に帰着した.この条件は,1)制御システムの安定領域の解析,2)L2性能の解析に適用可能である.これにより,従来困難であった,モデル予測制御器やControl allocatorなどのオンライン最適化を含む制御アルゴリズムが用いられたシステムのロバスト性解析を行うことが可能となった.本研究では,予測モデルが部分的に多層ニューラルネットワークにより記述されたモデル予測制御系の安定化設計を目的としているが,2021年度の成果は,そのための基礎となる.一方で,本研究では,提案する制御手法を,車両の耐故障制御問題へ適用することを予定している.その準備として,モデル予測制御器と学習機能を有する制御器を併用する制御系の構成法を構築した.さらに,自動車のヨーレート追従制御問題に適用し,数値例により,車両の物理パラメータが変動した場合にも,制御性能を維持できることを確認した.ただし,この制御手法にはシステムの安定性の保証の点で改善の余地がある.今後は,前述の安定性解析に関する成果と統合することにより,安定性の保証が可能な学習機能を有する制御アルゴリズムの構築を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は,当初計画通り,理論的な基盤となる制御システムの安定性について一定の成果を得ている.これに加え,車両の耐故障制御問題に対する成果を得ている.そのため,概ね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,当初計画通り,2021年度に導出した制御系の安定性定理に基づき,具体的な制御器設計法を構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験のための物品調達を2021年度から2022年度に変更したため,次年度使用額が生じている.2022年度に,速やかに物品調達を実施し,経費を執行する.
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