研究課題/領域番号 |
20K04552
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
小島 千昭 富山県立大学, 工学部, 准教授 (00456162)
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研究分担者 |
薄 良彦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40402961)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 電力ネットワーク / デスクリプタシステム / 多次元システム |
研究実績の概要 |
本研究課題では,送電・配電ネットワークから構成され,発電機,再生可能エネルギー,電気自動車など異種の電力機器が連系しているような次世代電力ネットワークを考える.令和2年度では,電線路の多次元性(偏微分方程式で表される時間・空間など複数の独立変数を持つシステム)に基づき,次世代電力ネットワークのダイナミクスの本質を明確化し,想定される制御系設計に有効となる統一的なモデリングの枠組みを確立することを目指した.具体的には,以下の(i)-(iii)を遂行した. (i) 送電ネットワークに対して,各負荷を配電ネットワークの縮約と考え,各発電機・負荷をデスクリプタシステムによって,非均質なダイナミクスの記述を行った.本成果に関しては,国内学会において現状の取り組みを紹介した. (ii) 対外発表には至らなかったが,発電機として太陽光発電が連携した場合や電気自動車が負荷として接続した場合のモデリングに対する検討もあわせて遂行した. (iii) 電気自動車の充放電を考慮した配電電圧分布を確率微分方程式に基づき解析し,国内研究会にて発表した. しかし,当初予定していた配電ネットワークにおける電線路の電圧分布のモデリングや電力機器・電線路が満たす消散性を明確化に関しては,「現在までの進捗状況」で説明するような特殊かつ困難な状況であったため,準備的な取り組みは行ったものの十分な時間やエフォートを配当できず満足のいく成果,および対外発表には至らなかった.これらの項目に関しては,令和3年度の取り組みを通じて十分な成果へと発展させて,学術論文や国際会議による対外成果へと結び付けていきたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の大学内での学科変更による新学科の立ち上げや令和2年度当初より発生した新型コロナウイルスへの大学内外への対応のため,新たな形式の授業の準備や学内業務が突発的に発生した.また,研究の遂行や発表の面においても当初予定していた学会参加による情報収集や研究打ち合わせなどの定期的な遂行することが困難となった.これらによって,本研究課題に多くのエフォートを割くことが困難となり,当初計画していた配電ネットワークのモデリングに対して十分に取り組むことが困難となった.これらの事実と「研究実績の概要」をあわせて,現在までの進捗状況は,やや遅れていると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では,令和3年度は,電力機器の消散性に基づき,再生可能エネルギーや電力機器による変動に対して全体の安定性を達成するマルチスケールロバスト制御系設計の理論を構築することを計画していた.しかし,この計画は令和2年度に想定していた送電ネットワークと配電ネットワークのモデリングの理論基盤が成立した上で成り立つものである.よって,令和3年度の取り組みにおいては,令和2年度にやり残した内容を着実に遂行し,その後当初の令和3年度に計画していたロバスト制御系設計の内容に進むものとする.また,令和2年度に対外発表に至らなかった項目に関しては,成果のまとめを急ぐことによって,積極的に発表を行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者における新学科の立ち上げや令和2年度当初より発生した新型コロナウイルスへの大学内外への対応のため,当初予定していた学会参加による情報収集や研究打ち合わせなどの定期的な遂行ができなくなった.これらの残額は令和3年度において,当初執行予定であった費目に充当する予定である.
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