現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CaSi2を出発材料して用い複数のシリサイドナノシート束,シリケートナノシート束を作製した.ナノシート束はナノシートが蜜に積層し束となった形態をいう.Mg2Si, Mg2Si1-xGexナノシート束及びMnSi1.7ナノシート束については現在,物性の評価と特性改善のための構造改変の段階にはいっている.Mg2Siナノシート束の作製に関してはCaSi2と反応させる原材料のMgCl2にMgを加えMg2Siナノシート束を作製した.得られたMg2Siナノシートの電気伝導率は低くかった.一方でMgCl2溶融塩Mg液相を用いた液相成長法により高導電率Mg2Siを得た.この液相成長法で得られたMg2Siの微細構造,電気伝導特性及び光学物性を調査中である.現在低融点不純物を添加した溶融塩にて熱処理を施す事によりMg2Siへの不純物添加を試みている.Mg2Si1-xGexナノシート束については,組成比xの異なるナノシート束の微細構造およびフォノン物性を測定中である.MnSi1.7ナノシート束については,MnCl2溶融塩を用いて作製する事により,初めて粒内で一様なMnSi1.7ナノシート束の作製が可能となった.溶融塩としてMnCl2に異種の塩化物を添加する事により優先して生成する相を調べた.現在,MnSi1.7ナノシート束の微細構造,電気特性を測定中である.Mg2SiO4ナノシート束については,高エネルギー領域において発光が得られ,引き続き発光の起源を調査中である. また新しく鉄シリサイドナノシート束の作製を始めている.NaCl-KCl及びFeCl2 或いはFe金属を用いた溶融塩法を用いて鉄シリサイドを作製し,Fe3Si, FeSi, a-FeSi2, b-FeSi2が生成する熱処理条件を探索している.CrSi2等他のシリサイドナノシート束,CaF2他のナノシート束の作製は準備段階にある.
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