研究課題
本研究は、ナノシートの積層構造からなるナノシート束を作製し、さらにそのモルフォロジー及び構造制御を行い、様々な化合物からなる新規のナノシート束を作製するプロセスを開発する事を目的とする。CaSi2をMnCl2とともにCaCl2の融点(772℃)以上の800℃にて10時間の熱処理を施す事により、気相法に比べて組成分布の均一なMnSi1.7ナノシート束を得た。副産物であるCaCl2の生成は、CaSi2よりCaの脱離を促進するが、CaCl2生成後はMnを液相内に閉じ込め長時間の熱処理により組成の均一化を向上させる重要な役割を果たす。また得られたナノシート束の室温での熱伝導率は0.58 W/mK、電気伝導度は2×10^2 S/m、ゼーベック係数は110μV/Kであった。MgCl2及びMgをソースとして用い、Mgの融点及びMgCl2-CaCl2混合塩の共晶点以上に保持した。その結果、Mg分布のより均一なMg2Siナノシート束が得られた。そのナノシートの熱伝導率は1.8 W/mK、不純物添加により電気伝導度は2×10^4 S/m、ゼーベック係数は-120μV/Kとなった。さらに多様な種類のナノシート束の作製を試みた。鉄シリサイドナノ構造の他、CaSi2をCrCl3xH2Oとともに熱処理を施すことによりCrSi2ナノロッド/ナノシート束複合体を得た。またSiCをCaCl2溶融塩中にて熱処理を施す事により、剥離したナノシート構造が得られた。その他、CaSi2をMgCl2およびSrあるいはSr化合物とともに熱処理を施す事によりSr(Ca)-Si系ナノフレイクを作製した。酸化物としてはMgCl2を大気雰囲気化にて熱処理を施す事によりMg(OH)2の生成を介し積層したMgOナノフレークを得た。層構造を有する材料の生成を反応経路とする事により、ナノフレークが得られたものと考えられる。
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Jpn. J.Appl.Phys.
巻: 62 ページ: SD1021-1-9
10.35848/1347-4065/acaeb1
https://wwp.shizuoka.ac.jp/tatsuoka/