Fe添加AlNというありふれた構成元素だけからなる薄膜が、基板やターゲットなどの種類を問わずa軸配向ウルツ鉱型結晶になることを明らかにした。これにより、無極性化によるAlN系深紫外LEDを高効率化し、かつ安価に実用化できる可能性が示された。学術的には、高分解能共鳴X線非弾性散乱法によりFeが2+/3+の価数混在状態をとっていることと、その価数混在比率とa軸配向特性に相関があることが明らかになった。種々の3d遷移金属を含むAlN薄膜を同じ条件で作成したとき、Feのみがa軸優先配向膜になり、これがFeのみがとる特異な価数混成状態と関連があるという、成長メカニズムの解明に極めて重要な知見が得られた。
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