チタン酸ビスマスナトリウム (BNT)系セラミックスは、比較的良好な圧電特性を示すことから環境にやさしい非鉛圧電材料の候補材料として注目されている。しかしながら、圧電性が消失する脱分極温度Tdが100~200℃程度と低く、応用上の大きな足かせとなっている。我々は、BNT系セラミックスを焼成後に1000℃程度から急冷(クエンチ)して作製することにより、優れた圧電性を損なうことなく従来のTdより50~80℃程度上昇させられることを実験的に見出した。また、そのメカニズムとして、クエンチ処理による結晶相(菱面晶)の構造歪みが増加することやドメインサイズの増大と強く関連していることを明らかにした。
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