研究課題/領域番号 |
20K04572
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
森武 洋 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (90531799)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | NRDガイド / 配向マイクロファイバー / エレクトロスピニング法 / テラヘルツ波移相器 / ネマティック液晶 |
研究実績の概要 |
NRDガイド型の液晶装荷移相器を350GHzのテラヘルツ波に対して実現するためには、液晶層の厚さを200μm以上とする必要がある。このように一般のディスプレイに比して非常に厚い液晶層のデバイスの場合、電圧を除去した時の立下り応答時間が100s以上となるため、改善が必要である。このため、本研究では、エレクトロスピニング法により作製した配向ナノファイバーと液晶の複合素子を用いることにより解決する計画であり、本年度は配向ナノファイバーの直径と液晶の複合素子の応答時間、誘電異方性について検討を行った。 エレクトロスピニング法における高分子溶液の高分子濃度を増加させ、適切な電圧を印加することにより、ファイバーの直径を増加できることを明らかにし、最大1.5μm超える配向マイクロファイバーを実現した。このようにして作製した配向マイクロファイバーと液晶の複合素子を作製し、その複合体の誘電特性、応答特性を測定し、誘電異方性は液晶単体の80%以上を維持しながら、立下り時間を100ms程度と液晶単体の1000分の1以下となるナノファイバーの作製条件を見出した。この複合素子を利用し、前年度作製法を確立したポリエチレンによるNRD素子及び方形導波管-NRD変換器を組み合わせたマイクロファイバー/液晶装荷テラヘルツ波移相器を実現した。この移相器の印加電圧に対する位相変化特性と応答特性の評価を行い、位相変化量が360°を超え、電圧印加・除去時の応答時間がともに100ms程度のテラヘルツ波可変移相器が実現されたことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題で明らかにしようとしている課題3点の内、今年度までに2点は完了している。残る課題はフェーズドアレーアンテナの設計と実現であるが、実現のためにはNRDガイド型テラヘルツ波導波路の分配器や、NRDガイドと接続するアンテナなどの構成要素の設計と実現が必要であるが、現状では個々の構成要素の設計にとどまっているため、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
残る課題について次年度研究を進めて行くが、進捗状況によっては研究期間の1年間の延長も視野に入れ、本研究課題終了時には計画した課題をすべて完了させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、コロナ禍で国際会議や国内学会のほとんど全てがオンライン会議となったことにより、計画した旅費を執行していないためである。未使用の旅費については、次年度の学会の開催状況を確認しながら、余剰分については研究を遂行するための物品費として研究に有効に使用する予定である。
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