光励起エネルギー移動は近接した粒子間においてドナーにより吸収された光エネルギーがアクセプターへと移動する現象であり,特に光合成においては重要な素過程の一つとして知られている.自然界の光合成細菌における集光アンテナ(LH)では,LHを構成する色素分子が環状に並んだ円環構造を形成することで,高速なエネルギー移動を実現していることが知られているが、構造的なゆらぎの取り扱いがナノ構造によるLHのデバイス化を阻んできた.本研究では,人工ナノ構造を用いてこの円環構造を模倣し,高速なエネルギー移動を実現するためのデバイス指標を与え,「構造的なゆらぎ」がなくても高速エネルギー移動が生じる事を明らかにした.
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