研究課題/領域番号 |
20K04584
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研究機関 | 米子工業高等専門学校 |
研究代表者 |
田中 博美 米子工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60511491)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 電子・電気材料 / 特性改善 |
研究実績の概要 |
本研究では脱着可能なBi系高温超伝導接合において問題となっている低い臨界電流を改善し、高分解能μMRIの実用化を促進する。 本年度は、Bi系高温超伝導線材の最外皮である補強用金属材(以後、補強材)を、非加熱で機械的に取り除く手法を検討した。補強材を簡単に剥離させるため、補強材表面の一部に予め亀裂を入れた。そして、亀裂とは反対側から線材に力を印可することで、亀裂をガイドに線材端部を折り曲げた。その後、折り曲げた線材を引き剥がす方向に力を加え続けることによって、非加熱で簡単に剥離が実現できることが分かった。剥離面はBi系高温超伝導多芯線が既に露出しており、従来法であるウェットエッチングにより補強材を除去する際に生じる化学的ダメージを低減できることが分かった。 次に、この機械的除去法で作製した剥離面同士を単純に重ね合わせた後、室温でプレス機を用いて一軸方向加圧した。その後、二つの線材の乖離を防ぐために、はんだ等で線材外部を機械的に結合させ仮補強した。 このようにして作製したBi系高温超伝導接合の抵抗-温度特性を測定したところ、超伝導転移特性が明瞭に観測され、接合界面での電流パスが形成されていることが確認された。これらの結果から、補強材の機械的除去法の導入と一軸方向加圧により、非加熱でも超伝導接合が作製できることが分かった。特に、非加熱およびエッチングレスの双方により高温超伝導多芯線へのダメージを抑制できた点は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究では、非加熱で機械的に保護材を取り除くことでBi系高温超伝導線材の内部に存在する多芯線をダメージレスで露出させた。そして、露出させたBi系高温超伝導線材の多芯線同士を直接重ね、プレス機で加圧した。これにより、非加熱でも超伝導接合を作製することに成功した。以上のことから、本研究は、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、接合作製時の条件(印可圧力、時間等)を種々に変えながら最適化を行う。これにより、超伝導特性に優れ、かつゼロ抵抗を示すBi系高温超伝導接合を作製するための試行錯誤を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】購入物品(ブレード切断機)が予定よりも安価で済んだため、次年度使用額が生じた。 【使用計画】翌年度、窒素ガス等の消耗品購入として使用する。
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