研究課題
本研究では脱着可能なBi系高温超伝導接合において問題となっている低い臨界電流を改善し、高分解能μMRIの実用化を促進する。本年度は、Bi離脱を防ぐためにBi系高温超伝導バルク体(Bi-2212ペレット)を、接合と抱き合わせる手法を導入し、作製条件の最適化を行った。840 ℃、24 hの焼結条件で作製した Bi-2212ペレットをBi系高温超伝導線材接合(以後、HTS-HTS接合)と共に銀の箱に入れることで、半密閉空間を作った。接合の加熱処理は~850 ℃の温度条件下で行った 。なお、Bi-2212ペレットは0.5gを4つ銀箱中に入れ、銀箱内部のBi蒸気圧が 飽和蒸気圧に達するようにした。作製したHTS-HTS接合の EDX測定、SEM観察や電気輸送特性測定を行った。その結果、加熱処理850 ℃で作製した試料の接合部における組成比は Bi : Sr : Ca : Cu = 1.6 : 1.9 : 2.1 : 2.8であり、DI-BSCCO線材の組成比と同程度まで改善されることが分かった。また、HTS-HTS接合断面をSEMにより観察した。その結果、~800 ℃加熱では接合内部に亀裂が複数、観察された。一方、銀箱中でBi-2212ペレットと抱き合わせて850 ℃で加熱を行った試料では、接合内部に亀裂がなく完全に接合されていることが分かった。加えて、抵抗-温度特性の測定を行った。その結果、接合の超伝導転移温度は109 Kであり、DI-BSCCO線材の元々の特性が維持されていることが分かった。以上のことから、銀箱中でBi-2212ペレットと抱き合わせてHTS-HTS接合を加熱することで、接合部の組成ずれを抑制でき、超伝導特性も改善できるが明らかとなった。
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