研究課題/領域番号 |
20K04586
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研究機関 | 有明工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松野 哲也 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (80243921)
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研究分担者 |
小田部 荘司 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (30231236)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 数値シミュレーション / 数値積分アルゴリズム / 陽的解法 / 構造保存 / 波動関数 / 超伝導 / 超流体 / ゲージ場 |
研究実績の概要 |
量子力学的波動関数の時間発展を記述する偏微分方程式(時間依存シュレディンガー方程式,TDGL方程式およびTDGP方程式)のために本研究で提案された陽的かつ構造保存特性を有する数値積分アルゴリズム(Affine Integrator: AFI)の理論解析や数値実験による検証を引き続き進めてきた. 最終年度の成果は,非線形シュレディンガー方程式の解析解の一つであるdark soliton解をゲージ場が存在する場合に拡張再構成しそれを利用することでAFIスキームの性能評価を誤差(数値解と解析解のずれ)の観点からも行ったことである.今回は4次のオーダーのAFIと4次のオーダーのRunge-Kutta(RK)法を比較した.エネルギー保存の観点からは構造保存特性を有するAFIの性能が優っていたことに加え数値誤差の観点からもAFIは良い性能を有することがわかった.特にAFIは空間刻み幅から導かれる時間刻み幅の理論的最大値近傍において数値誤差が最小となることが示された.このときの時間刻み幅よりもかなり小さな値の時RK法では不安定化した.またこのときAFIの数値誤差はRK法のそれと同程度である.つまり非線形解析解(ゲージ場存在下での解析解)を利用することによってAFIの優位性が明確に示されたことになる. これまで,TDGL方程式やTDGP方程式に加え,2成分系の超伝導現象すなわち2次元複素ベクトル場の時間発展を記述する偏微分方程式やFermi-Pasta-Ulamが取り扱った非線形波動方程式に対してもAFIを適用可能であることを数値的に確認してきた.ゲージ場存在下での様々な量子力学的現象の再現のために試行錯誤しながら多数回数値実験を行うための有効な数値積分スキームとしてAFIは今後様々な目的のために利用されていくことが期待される.
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