研究課題
高速光変調器などの電気光学素子では,チタン拡散によるニオブ酸リチウム光導波路(Ti拡散LN導波路)が広く用いられている.一方で,多モード干渉(MMI)光導波路構造は,複数端子の光結合器等が実現できることから,電気光学素子と一体化することで素子の高機能化が期待できるが,Ti拡散LN導波路では実現されていない.本研究では,MMI導波路素子をTi拡散LN導波路で実現し,MMIによる光結合器を用いて新たな機能を持つ電気光学変調素子を提案し,実験的にその動作実証を行うことを目的とする.最終年度である令和5年度は,前年度までに実現した1×3MMI光結合器を利用した3並列干渉光変調器の応用展開を進めた.また,同時に,本研究の重要な目標の一つであるより多分岐のMMI光結合器を検討し,さらに高機能な光変調器の実現を目指した.令和5年度中の主な研究成果について説明する.前年度に開発した3並列干渉光変調器構成を用いて変調光スペクトルの搬送波成分を独立に制御できる光変調器を新たに検討し,変調光の変調度の増大および波長分散を事前に補償できる光変調器を実現した.実際に,20kmの光ファイバ伝送実験を行い,分散補償動作を実験的にも実証した.これにより,高速信号の光ファイバ伝送で問題となる波長分散の影響を光変調器の電気的な調節で回避することができる.また,より多分配の光結合器として1×6MMI光結合器をTi拡散LN導波路ではじめて実現し,この結合器を用いた6並列干渉光変調器を実際に作製した.この変調器を用いて,入力信号の6倍の周波数の信号が得られる6逓倍光変調動作を実験的に実証した.これにより,マイクロ波帯電気信号から100GHzを超えるヘラヘルツ無線信号を生成することも可能となり,超高周波の無線信号の利用が考えられている将来の6Gシステム等への応用が期待できる.
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