研究課題/領域番号 |
20K04611
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
服部 淳一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (80636738)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フォノン / 熱伝導 / デバイスシミュレーション / TCAD |
研究実績の概要 |
半導体デバイスのシミュレーションにフォノン熱輸送を取り入れるために、今年度は、低次元材料とバルク材料とが接続する界面について、そのフォノン熱輸送に与える影響を調査した。当該界面は、実際のデバイスにおいてはチャネルとソースまたはドレインとの接続部分に相当し、デバイス全体での熱輸送を考える上での要所である。調査の結果、低次元材料における熱輸送は当該界面の影響を強く受け、多くの場合で低次元材料の有する熱輸送能力を十分に発揮できないことが分かった。したがって、デバイス全体の熱輸送シミュレーションにおいては、当該界面の影響を取り入れることが不可欠であり、現在、その方法について検討を進めている。なお、当成果については、第82回応用物理学会秋季学術講演会にて発表した。 また、これまでのシミュレーションでは、電荷キャリアによる熱輸送については考慮しておらず、全体としてはエネルギーの保存則が破れていた。そこで、エネルギー・バランス・モデルを導入し、電荷キャリアによる熱輸送も部分的ながらシミュレーションに反映させた。これにより、デバイスにおける熱輸送をより正確にシミュレーションできるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度までに、本研究の目標の一つである低次元材料におけるフォノン熱輸送のシミュレーションについては、おおむね順調に進められているが、もう一つの目標であるフォノン・モードの集約方法の確立については、ほとんど手をつけられていない。よって、総合的には、進捗はやや遅れているものと判断せざるをえない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度までに検討した低次元材料におけるフォノン熱輸送のシミュレーション方法を実際的なデバイスのシミュレーションに展開する。また、本研究のもう一つの目標であるフォノン・モードの集約方法についても検討を進め、特に、非定常状態シミュレーションに対して方法の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、実施したシミュレーションの多くが準備段階の基礎的なものであり、借りている計算機の使用料が想定を下回った。また、新型コロナウイルスの流行により、予定していた学会参加および出張が取りやめになったため、その旅費が残ることとなった。これらの未使用金については、次年度の計算機使用料に充てる予定である。
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