研究課題
次世代型CMOS-フォトニックの一体型高効率デバイスの創製に向けて、添加元素分布の不均一性や添加時に導入される欠陥の存在が光学的特性に大きく影響を与えるため、発光添加元素と欠陥の空間的な位置関係を明確にする必要がある。本研究では、原子レベルで元素の実空間分布を得る3次元アトムプローブ(3DAP)法と透過電子顕微鏡を同一の素子に適用して、共添加元素(初期段階ではエルビウム・酸素の組み合わせに着目)および注入誘起欠陥の両者の分布を明らかにするとともに、フォトルミネッセンス発光特性と照らし合わせて添加元素分布-結晶欠陥分布-発光特性の三者の直接的な因果関係を解明することを主な目的とする。また、母材となるシリコンの同位体多層膜をサブナノメートルスケールの指標として利用する新しい概念を取り入れ、3DAP法による高精度分析の実現も併せて目指してきた。この実験体系を構築することにより、発光複合体の空間的な広がりを自在に制御する指導原理へ繋がる可能性を秘めている。具体的に以下の手順で検討してきた。1)試料設計・準備:エルビウムと酸素を共添加したシリコン試料を設計した。3DAP法では観察領域に制限(表面から約200nmまでが適正)があるため、注入量・深さなど厳密な設計が重要である。また、微細針状のための試料切り出しが技術的に最も難しい点であり、その点を重点的に実施してきた。2)微細針状加工および解析条件の最適化:3DAP測定の適用には先端径20nm以下に精鋭化する必要があった。高精度な走査電子顕微鏡付き集束イオンビーム加工装置を用いて、添加元素領域を含むように針形状の最適化を図った。3DAP測定において、極細針状試料の先端から原子を1個ずつ剥ぎ取るための測定条件の最適化を行い、統計精度の向上のため多量の3次元データを蓄積する体制を整えた。
すべて 2021 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 備考 (5件)
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