研究課題/領域番号 |
20K04614
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐藤 祐一 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (70215862)
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研究分担者 |
齋藤 嘉一 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (10302259)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 窒化物半導体 |
研究実績の概要 |
本研究課題においては非単結晶基板上での発光ダイオード(LED)形成が可能であること,また,用いる非単結晶基板は大面積化対応可能でかつ低コストであるものが望ましいと考えられる。研究代表者らは,これまで低コスト太陽電池への適用で実績のあるキャスト法による多結晶Siウェハを基板とし,その上に垂直配向したGaN系のナノ柱状結晶の成長を行ってきた。本研究ではこれらを用いたLED形成の可能性についてはじめに検討を行った。 多結晶Si基板上に垂直配向したナノ柱状結晶を得るために,あらかじめその傾向が強くなる成長条件により結晶配向性を整えるためのナノ柱状結晶(ステアリング結晶)を成長し,その上にInGaN活性領域をGeドープGaNおよびMgドープGaNで挟んだダブルヘテロ構造のダイオードを形成した。また,各不純物ドープの条件についても詳細に検討を行った。さらに,MgドープGaNへのオーム性電極としてのITO薄膜電極による接合の短絡が生じないこと,およびその熱処理条件についても検討を行った。このようにしていくつかのInGaN活性領域を含むダブルヘテロ接合ダイオードを形成し,それらの発光特性を評価した。なお,比較のためInGaN活性領域を含まないpnホモ接合ダイオードも形成し,それらの発光特性についても評価を行った。 本研究で形成した多結晶Si基板上のナノ柱状結晶に基づくダイオードにおいて整流特性が問題なく得られること,および各構造・各成長条件で形成した場合でも発光が得られることを確認することができた。また,ホモ接合ダイオードにおいては,不純物ドープの条件に依存して発光波長が短波長から長波長領域へシフトするという結果を得た。ダブルヘテロ接合ダイオードに関しては,活性層の形成条件に依存して発光波長がシフトすることを確認でき,発光強度は単結晶材料のそれには現段階では及ばないものの,実用的な強度を得るための可能性があることを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで多結晶Si基板上で当該構造のLEDが形成可能かどうかということが最も大きな課題であったが,当該年度の研究で形成した各種ダイオードにおいてそれぞれ発光が得られることを確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の研究により多結晶Si基板上にGaN系ナノ柱状結晶ベースのLEDが形成可能であることが確認できたため,今後はそれらの性能向上や多様な特性の発現に関する研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度において当初は構造解析等を重点的に実施する予定であったが,形成したダイオードの発光特性の評価の実施割合が相対的に大きくなり,前者に関する実施割合が小さくなったことによる。次年度以降,構造解析等の実施割合を高め,発光特性の向上や現象解明へつなぐ予定である。
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