2022年度までの研究成果の内容としては、窒化ガリウム(GaN)基板を用いた発光ダイオード(LED)素子の常温大気圧下での接合を目的とした、素子サイズの微細化を行った。40-100マイクロメートル程度の素子については実績があるので、10-20マイクロメートル程度を目標にパターニングが良好に行えること、さらに3マイクロメートル程度までの良好なパターニングが電子線描画装置にて可能であることを確認した。GaN-LED基板以外の基板への一般化については、ガリウム砒素(GaAs)基板を用いて行い、素子構造としては微細なLED構造ではないが、ある程度大きなサイズの素子にて接合工程が可能なことを検証した。また、pn接合ダイオード受光素子の異種基板上への接合を目的として、Silicon-On-Insulator(SOI)基板を用いて、イオン注入などによってpn接合を形成し、形成したpn接合がダイオード特性を示すことを確認した。 2023年度の研究成果の内容としては、SOI基板上に10-20マイクロメートル程度の素子形状を形成し、形成した素子を石英基板上に常温および大気圧下で接合した。接合させた素子をpn接合ダイオード受光素子とするために、イオン注入により不純物導入を行い熱処理によりpn領域を形成した。その後アルミニウム電極を形成して特性を評価した。GaN基板を用いたLEDについても、10-20マイクロメートル程度の素子形状を形成し、電極パターンをリフトオフにより作製した。作製した素子について、常温および大気圧下で石英基板上へ接合した。一部の素子は接合することができたが、所望の素子だけを歩留まり良く接合させるには、プロセスの最適化の必要性があることが分かった。
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