研究課題/領域番号 |
20K04623
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
工藤 孝人 大分大学, 理工学部, 教授 (60225159)
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研究分担者 |
花田 英輔 佐賀大学, 理工学部, 教授 (90244095)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 周期構造 / 周波数選択 / 電磁波遮へい / シミュレーション / 医療電磁環境 |
研究実績の概要 |
1.複数層のFSSによる電磁波の反射・透過特性に関する計算機シミュレーション(工藤): 同型または異型の複数層のFSS(Frequency Selective Surface, 周波数選択板)による電磁波の反射・透過・遮へい特性に関し,FDTD(Finite-Difference Time-Domain, 有限差分時間領域)法に基づく3次元計算機シミュレーションを実施し,マイクロ波帯における周波数特性及び空間特性のデータの一部を取得した. 2.FSS と非金属周期構造を組み合わせた構造体による電磁波の反射・透過特性に関する計算機シミュレーション(工藤): 単層のFSSと誘電体支脈からなる正方格子型周期構造を組み合わせた構造体の電磁波遮へい特性について,FDTD法に基づく3次元計算機シミュレーションを実施し,マイクロ波帯における周波数特性及び空間特性のデータの一部を取得した.1に述べた成果と併せ,周波数選択性をもつ機能的周期構造を作成するための基礎データを一部取得することができた. 3.医療機関における活用方法の検討(花田): 医療機関における無線通信と有線通信の効率的な併用,及び電磁波遮へい材の活用について検討した. 4.シミュレーション結果の可視化技法に関する検討(工藤,花田): FDTD法に基づく電磁波諸現象の3次元シミュレーションのデータを,Java3Dを適用したJava言語でプログラミングし,擬似3次元空間で動画化(時間経過表現)することに成功した.この成果により,計算機シミュレーションの有用性及び医療機関における帯域的電磁波遮へいの重要性を効果的に可視化する道が開かれた. 5.研究成果の発表(工藤,花田): 上に述べた1~3の研究成果について,国内学会及び国際学会において講演論文計9編を発表した(コロナ禍のため,すべてオンライン発表).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で研究打合せや研究成果の発表にやや支障が出たが,令和2年度に予定していた研究をほぼ計画どおりに遂行することができた.また,令和3年度の研究計画(FSSと非金属周期構造を組み合わせた構造体による電磁波の反射・透過特性に関する計算機シミュレーション)の一部,及び令和4年度の研究計画(医療電磁環境での活用に関する検討)の一部を前倒しして実行した.
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今後の研究の推進方策 |
1.複数層のFSSによる電磁波の反射・透過特性に関する計算機シミュレーションの継続(工藤): 令和2年度に引き続き,同型または異型の複数層のFSS(Frequency Selective Surface, 周波数選択板) による電磁波の反射・透過・遮へい特性に関し,FDTD(Finite-Difference Time-Domain, 有限差分時間領域)法に基づく3次元計算機シミュレーションを継続して実施し,マイクロ波帯における周波数特性及び空間特性の詳細なデータを取得する.シミュレーション用のソース・コードの作成及びデータ処理に関しては,研究代表者(工藤)が所属する講座の卒業研究生に研究補助を依頼する. 2.FSS と非金属周期構造を組み合わせた構造体による電磁波の反射・透過特性に関する計算機シミュレーション(工藤): 上記1と同様に3次元シミュレーションによりマイクロ波帯における周波数特性及び空間特性を解析し,帯域的遮へい構造体の試作品を作製するための基礎データを取得する. 3.シミュレーション結果の可視化技法に関する検討の継続(工藤,花田): 擬似3D表示,アニメーションによる時間経過表現などを活用し,シミュレーション結果の可視化技法,即ち,効果的な視覚表示方法についての検討を継続する. 4.研究成果の発表(工藤,花田): 得られた研究成果を速やかに国内外の学会等で発表するとともに,論文誌への投稿の準備を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究代表者(工藤)分については,成果発表を予定していた国内学会等がコロナ禍ですべてオンライン開催になったこと,及び研究打合せで予定していた出張がコロナ禍の移動制限で実施できなかったことから,旅費に未使用額が生じた.また,コンピュータ周辺機器として発注していた物品の一部が業者側の理由で年度内に納入できなかったため,物品費にも未使用額が生じた.研究分担者(花田)分については,国際学会での発表と情報収集を計画していたが,すべてオンライン開催となったため,旅費に未使用額が生じた. (使用計画) 研究代表者(工藤)分のうち,まず旅費については,当初計画に加えて新たな国内・国際学会への投稿・参加を検討し,採択され,かつ,現地開催の場合,その旅費及び参加登録費に充てる.また,物品費については,令和3年度の予算が使用可能になり次第,未納入物品を再発注して消化する.研究分担者(花田)分については,現時点で国際学会に2件の投稿をしており,採択され,かつ,現地開催の場合,その旅費及び参加登録費に充当する.
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