研究実績の概要 |
本研究の目的は,耐伝送環境変動に強いWPTシステムを構築するための整流回路技術を新たに構築することにある.本研究は,1)回路設計技術,2)入力信号波形,3) デバイスレベルでの最適化の3つのアプローチから取り組んでいる.本年度は,1)と3)の両者を組み合わせた整流回路構成の検討,設計を行い,ダイナミックレンジ拡大の可能性を明らかにしている. 本研究成果は,1)簡略化した等価回路モデルから動作原理,最適負荷条件を明らかにするとともに,市販のショットキーダイオード非線形モデルを用いた整流回路を回路シミュレータを用いて解析した.また,使用するデバイスの組合せとダイナミックレンジの関係をモデル化し,ダイナミックレンジ特性の限界値を明らかにした.5.8GHz,28GHz帯および94GHz帯整流回路を設計・試作し,世界トップ性能を実現できることを確認した.2)各種変調信号の生成モデルを構築するとともに,シングル・シャント型整流回路を用いて,それら変調信号特性と整流回路特性の関係を明らかにした. 回路シミュレータを用いてQPSK等変調信号の伝送レートと整流回路変換効率の関係を明らかにした.また,パルス変調信号(パルス波形)と整流回路動作・変換効率の関係を明らかにし,パルス変調信号に含まれる高調波信号の振幅,位相が変換効率に影響を及ぼすことをシミュレーション及び試作回路による測定評価により明らかにした.3)GaNダイオードのデバイスモデルを用いて,デバイス構造とシングル・シャント整流回路のコシミュレーション環境を構築した.コシミュレーションにより,整流回路特性に最適なデバイス構造を明らかにすることを可能となった.最大変換効率を実現するダイオードのアクセス層の幅と厚さの最適値を明らかにするとともに,そのダイオードを用いた整流回路において,世界最高性能のダイナミックレンジ特性実現した.
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