研究課題/領域番号 |
20K04630
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大倉 俊介 立命館大学, 理工学部, 准教授 (20808216)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イメージセンサ / 低消費電力 / 逐次比較型A/D変換器 / 画像認識 / 特徴量 / 深層学習 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
極低消費電力で動作する画像認識用CMOSイメージセンサを実現するため,2022年度は実証TEGの設計を行った.画像認識モードは,特徴量として一次微分フィルタ画像を出力可能な画素,定常電流を消費しない画素ソースフォロファ回路およびA/D変換器,から構成している.また,特徴量データセットを生成し,畳込みニューラルネットワーク(CNN)に学習させることで,データ量を大幅に削減しても高い認識精度が得られる目途を得た. - 実証TEG設計において,通常画像を読み出す際には33.3uAの消費電流が必要な画素読み出し回路を,特徴量モードでは0.317uAと極めて低い消費電力で読み出し可能な目途を得た.A/D変換器は試作チップの評価を完了した.実証TEG設計は完了しているが,半導体不足などのため試作日程が遅延しており,試作は2023年度を予定している. - 2021年度は公開されている学習済みニューラルネットワークを用いて画像認識を試行したが認識率は5%程度と低くなることが分かった.今年度は,公開されているPersonデータセットを特徴量データセットに変換し,特徴量学習済みCNNを作成し画像分類を行ったところ,従来画像の分類精度が98.3%であるのに対して,特徴量はデータ量を95%削減しても認識精度は96.9%と非常に高い分類精度を実現できることを示した.特徴量データセットは,公開データセットを変換することで容易に生成可能であり,学習済みネットワークを低コストで作成することが可能である. - 2021年度に検討した小面積画素の駆動方法および読み出し方法を検討し,イメージセンサの出力データ量を通常画像の1/16に低減する手法を考案した.2023年度はこの手法をもとに,大規模データセットを特徴量データセットに変換し,物体認識モデルを学習することで,複雑な画像認識問題に取り組むことを予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は,実証TEGチップの試作を予定していたが,半導体不足などのため試作日程が遅延している.シミュレーション設計においては,特徴量モードにおける画素駆動方法および読出し回路を検討し、データ量および消費電力を削減可能な目途を得た.さらに,機械学習および深層学習で高い認識精度で特徴量の分類が可能な目途を得ており,シミュレーション検討は当初の予定以上に進捗している.また,実証TEGチップ試作のため,新たな試作方法を並行して検討している.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に見直した計画はほぼ達成し,画素は(1)一次微分フィルタ画像,および(2)輝度勾配のヒストグラムを用いた機械学習のための縦横輝度勾配,を出力可能な画素の設計,および高精度で画像分類を行うための手法を検討した.さらに,イメージセンサ出力データ量削減,および低消費電力読み出し回路の提案,により画像認識システム全体の低消費電力化を進めた. 2023年度は研究最終年度として,実証TEGチップを試作し,高精度イベント検知型の極低消費電力カメラシステムの設計を行い,深層学習を用いた画像認識を含めた評価を行う.また,画像認識システムのさらなる低消費電力化に向けて,ニューラルネットワークの軽量化の検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
半導体不足などのため実証TEGの試作日程が遅延しており,試作は2023年度を予定している.
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