研究課題/領域番号 |
20K04631
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
山田 省二 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00262593)
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研究分担者 |
赤堀 誠志 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 准教授 (50345667)
土家 琢磨 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (40262597)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 2層2次元電子ガス / スピン論理素子 / スピンFET(SFET)素子 / スピンバルブ素子(SV)素子 / 極低温測定 |
研究実績の概要 |
令和3年度の実績は以下の通りである。 1)令和2年度に主に作製・測定していた、2つのスピンバルブ素子を一つのオーミック電極でタンデムに結合した構造をもつ素子の測定を進める一方で、より実際の最終デバイスに近い、スピンFET(SFET)構造をもつスピンバルブ(SV)素子の設計・試作を進めた。これはInGaAs 2層2次元電子ガス基板に微細加工で幅の異なる長方形強磁性体電極を一直線上に配置し、その間隙に微細ゲート電極を作りつけたものである。これにより、スピンFET動作がより直接的かつ確実に観測できる。なお、このSFET素子は通常形状のSV素子(2本の長方形の強磁性体電極が接近して平行な構造)と必ずペア(対)で混載し、相互の特性のクロスチェックを可能としている。 2)新構造素子の作製は、引き続き3年度分担者になって頂いた北陸先端大、赤堀准教授の協力により行われた。これまでに、強磁性ゲート電極、微細ゲート電極の細かな作製条件を中心に、3度の試作を重ね、順次極低温測定を進めてきた。その結果、ペアとして同一基板上に作ったSFET、SV両素子において、同時に整合したSV特性が得られ始めている。ゲート特性に関しては現在測定中である。 3)令和3年度から分担者になって頂いた北海道大学土家准教授とは、引き続き2次元電子ガス2層系の輸送物理に加え、新デバイスの動作の物理的背景などについて議論を継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年(令和2年)度に作製・測定に注力していたタンデム型素子の問題点(スピンFET動作の観測に最適でないことなど)に比較的早く気づくことができ、早めの新素子の設計試作の作業を開始することが出来た。また、素子作製者(北陸先端大、赤堀准教授)に研究分担者になって頂き、より緊密かつ迅速に試作プロセスのサイクルを進められたことが大きい。その結果素子の歩留まり向上(極低温で測定可能な素子の割合)が続いている。また、土家准教授からは測定結果解析に有用なコメントなどを継続的に得ている。
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今後の研究の推進方策 |
1)現在のSFET/SV混載素子の試作をさらに2回程度進め、より歩留りを改善した素子の極低温測定を進める。
2)両素子とも、特に諸動作のゲート電圧依存性の解明に注力し、SFET動作、SV動作間の整合性や論理動作の確認等、最終目標を意識した測定を目指す。
3)また同時に、それら動作の理論的背景に関しても、最終的なモデル構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度使用額が生じた理由:1)新回転機能をもつ低温磁場測定用サンプルホルダーは大学の別予算で調達できることになり、8月頃納入予定。2)予定していた、海外学会(ICPS2020)20226月開催への参加は、コロナによる大学の海外出張自粛方針継続のため、不可となった。その結果、令和4年度の使用計画としては、測定用・実験用消耗品(ケーブル・高周波部品ピンセットなど)に加え、他のPC関連の測定・解析用アプリ・備品の購入を検討する。
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