研究課題/領域番号 |
20K04634
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
吉田 知也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (80462844)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シリコンフォトニクス / イオン注入 / エレファントカプラ / 光結合器 / 光ファイバ |
研究実績の概要 |
本研究では、モードサイズ10μmのエレファントカプラを実現することを目的としエレファントカプラ作製のコア技術であるIIBを革新する。シミュレーションによるとモードサイズ10μmを実現するためには立体湾曲部の曲率半径が10μm程度、先端の直線テーパー部の長さが15μm程度の形状を実現する必要がある事がわかっていた。しかし、IIBでは先端テーパー部を直線に保ったまま立体湾曲部を形成することが難しい。従来方式ではイオン注入の加速エネルギーと注入量で加工形状を制御しようとしていたが、湾曲部と直線テーパー部を個別に制御することが非常に困難であることが最近の研究でわかってきていた。 そこで本研究ではIIB法に新たな観点として、(1)イオン注入角度と湾曲効果の関係、(2)カバー層の導入、(3)部分的薄膜化という3つのアプローチを取り入れる独創的な手法を実験的に検証し、モードサイズ10μmのエレファントカプラ実現に挑んでいる。 初年度は手法(1)について、産総研のTIA-SCRの300mmラインで作製したシリコン光導波路を小片チップにダイシングした後に共用微細加工設備利用し、各種イオン注入条件を変えたエレファントカプラの試作・光学特性評価を実施してイオン注入角度と湾曲効果の関係を調査した。その結果、(知財に関するのでイオン注入条件の詳細は省略するが)イオン注入角度を上手く選択することで、加工の自由度が格段に上がり、手法(1)だけでも所望の光学特性が得られる構造を実現できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
綿密な計画を立てて研究を推進しているので、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に手法(1)だけでも所望の光学特性が得られる可能性が実験的に得られたので、今年度はこの手法によるモードサイズ10μmのエレファントカプラを実現するプロセスを追求する。具体的には、イオン注入の角度・ドーズ・エネルギー等の各種パラメータを立体湾曲加工過程でどの様に組み合わせると所望の形状に成りやすいかを、実用化を念頭になるべく少ない工程数で実現するための実験を進める。(現在までほぼ計画通りに進行しているので、特に研究計画の変更は考えていない。)
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