研究課題
本研究では道路に関連する構造要素のうち,道路の安全性に直接的に繋がる舗装路面を対象とし,地方自治体が行う日常点検において路面状態を画像で撮影する計測ユニットを開発する.加えて,計測した画像データから路面のクラックを抽出し,抽出したクラックの形状・長さ等から簡易的に健全度を評価して,それを地図上に表示するシステムを構築する.2020年度までの研究において,当初目的としていた地方自治体向けの実用的な道路路面の画像計測システムとそれを応用した路面の健全度評価システムについて,基幹部は概ね完成している.本年度(2021年度)は,まず,昨年度までの研究でのアウトプットである路面ごとの健全度を,計測時のGPSデータと統合して地図上に表示するシステムを構築した.このシステムでは,路面画像ごとのひび割れ率をカラーマップで地図上に表示し,かつその点をクリックすることで,評価に用いた健全度画像を表示できるシステムである.これにより,専門家だけでなく,道路管理者や一般市民でも道路の状態を定量的に把握できるようになったと考えている.加えて,2020年度に構築した画像計測システムを用いて,山梨県内を対象とした国道・県道・市町村道を合わせて130km分計測した.特にこの計測では,時期・天気・時間などの環境条件を変えた場合と,カメラのレンズを変え,より広角に路面撮影した際の路面画像を取得し,学習に加えることで,健全度評価システムの拡充をはかった.
1: 当初の計画以上に進展している
当初計画していた地方自治体向けの実用的な道路路面の画像計測システムと,その健全度を評価するシステム,および結果を分かりやすく表示するポスト処理システムの構築まで,2021年度末の段階で,概ね終了することができた.
2022年度は,付加的な内容として,路面のひび割れと補修跡を抽出するニューラルネットワークを構築し,道路路面の健全度評価を行う上での根拠となる情報も併せて提供できるよう健全度評価システムに組み込む予定である.
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土木学会 第2回AI・データサイエンスシンポジウム論文集
巻: vol.2, No.J2 ページ: pp.671-680