研究課題/領域番号 |
20K04650
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
石川 靖晃 名城大学, 理工学部, 教授 (00257651)
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研究分担者 |
上田 尚史 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (20422785)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | DEF / 化学膨張 / RC試験体 / 一軸拘束試験体 |
研究実績の概要 |
2021年度は、DEFによる化学膨張が生じたRCはり試験体、および一軸拘束試験体の作製方法の見直しを行った。試験体作製の際、300リットル程度のコンクリートが必要となるが、2021年度においては、生コン到着後、生コンを小分けにして、DEF生成に必要不可欠な硫酸カリウムを小分けにして混入させる手法を採用した。その結果、極端なスランプロスが生じ、まともな試験体を作製することができなかった。2021年度においては、生コンを使用せず、代わりに硫酸カリウムを水に溶かし、大容量ミキサーを用いて、硫酸カリウムが混入されたフレッシュコンクリートを現場練りにより作製する手法に改めた。その結果、試験体の完成度が向上した。材齢28日にて、作製したRC試験体の1体について載荷試験を実施した。その結果、このRC試験体は、健全なRC試験体と同程度の構造性能を有していることを確認した。 試験体作製後、RCはり試験体にコンタクトチップを貼り、コンタクトゲージを用いて化学膨張による変形の経時変化を定期的に測定している。同時に、一軸拘束試験体の拘束部材のひずみの経時変化を測定している。なお、計測中すべての試験体は常に20℃水中養生としている。現時点では、測定開始後、6か月程度経過している。現在もひずみ測定を継続しているが、測定開始3か月あたりから、RCはり、一軸拘束試験体ともに、ひずみ値が異常な値となっていることが確認された。一般的に、DEFによる化学膨張は6か月以上経過すると顕著に生じる傾向があるため、今後も測定を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度の試験体作製についての問題点を整理し、実験方法を工夫することで、その問題点を解消した点においては、研究が進捗したと感じられる。一方で、水中養生時での長期的に測定されたひずみ値が正確に測定されていない問題点が新たに生じた。この点について、再度検討する必要がある。今後の状況によっては、再度試験体を作製し直し、計測をやり直す必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
残りのRC試験体においてDEFによる化学膨張は相当進行していると予想されるため、これらのRCはりに対して、載荷試験を実施し、DEFが生じる以前(材齢28日)のRCはりの載荷結果と比較検討を行う予定である。同時に、載荷前にコンタクトゲージによりRC試験体の膨張量を測定し、DEFによる材料劣化と載荷後の構造性能についての関連について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
情報収集のための出張等がまったくなくなったため。情報収集や学会発表などの出張に使用することを考えている。
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