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2020 年度 実施状況報告書

地方橋梁の三次元モデルの構築と効率的・効果的な復元設計による維持管理環境の創出

研究課題

研究課題/領域番号 20K04666
研究機関宮崎大学

研究代表者

森田 千尋  宮崎大学, 工学部, 教授 (60230124)

研究分担者 松田 浩  長崎大学, 工学研究科, 教授 (20157324)
奥松 俊博  長崎大学, 工学研究科, 准教授 (30346928)
出水 享  長崎大学, 工学研究科, 技術職員 (00533308)
安井 賢太郎  鹿児島工業高等専門学校, 都市環境デザイン工学科, 准教授 (70897701)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード地方公共団体 / 橋梁 / 維持管理 / 復元設計 / 健全度 / SfM技術
研究実績の概要

本研究においては,既設橋梁の復元設計のための基準類の変遷等の整理を行い,建設年度推定の基礎資料を作成し,基準と年代ごとに整理の上,設計例等を作成する。さらに,光学的計測手法を用いて,橋梁全体の三次元座標を取得し,三次元解析モデルを構築する。これらを元に橋梁維持管理データベースを構築し,市町村が管理する橋梁の維持管理が効率的・効果的に行われる環境を創出するのが本研究の目的である。本年度は,次の2つの準備的な研究を並行して進めた。
(1) 既設橋梁の復元設計のための資料整理:まず,道路橋設計における共通事項の変遷について整理した。また,鋼橋においては,設計思想の変遷,鋼種の変遷,連結方式の変遷などについての資料整理を行った。コンクリート橋においては,許容応力度の変遷,塩害対策の変遷,PC鋼材の変遷などについての資料整理を行った。さらに,下部構造,耐震設計および付属物設計に関する資料を整理した。
(2) 写真計測による既設橋梁の三次元モデルの構築:解体予定の橋梁を対象として,市販の一眼レフデジタルカメラにより複数の方向から撮影した画像を用いたSfM(Structure from Motion)技術により,橋梁の3Dモデルを構築した。同時に行った3Dレーザスキャナ計測による方法と比較し,手計りできない床版厚においても,ほぼ一致した精度でモデル化できることを確認した。また,コンクリート供試体,H型鋼材供試体および小規模橋梁を対象として,撮影方法の違いおよびUAVを用いた撮影による精度検証を行い,データを蓄積した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究実績の概要にあるように,既設橋梁の復元設計のための資料整理については,おおむね令和2年度の目標を達成した。写真計測による既設橋梁の三次元モデルの構築は,室内での計測データは蓄積できているが,移動制限により既設橋梁でのデータの蓄積が少なく,令和2年度の目標からやや遅れている。
したがって,「(3)やや遅れている。」と判断した。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策については,令和2年度に得られた2つの準備的な研究をもとに,復元設計のための試設計例等を作成し,既設橋梁を対象に写真計測による三次元モデルの構築のための問題点を検討する。具体的には,以下のように進めていく。
(1) 既設橋梁の復元設計のための建設年度推定と試設計例等の作成:令和2年度に整理した道路橋設計における変遷をもとに,建設年度不明橋梁の建設年度の推定方法を検討する。また,市町村でも利用できる資料として細目構造や設計計算事例等について整理する。
(2) 写真計測による既設橋梁の三次元モデルの構築:令和2年度に撮影方法を検討したSfM技術を多くの既設橋梁に適用し,コンクリート橋,鋼橋など橋種別での計測の問題点を明らかにし,建設年度毎の3Dデータを蓄積する。
(3) 橋梁維持管理データベースの構築:整理された資料と試設計資料を用いて,配筋や形状など年代が判別できるデータベースを構築する。このデータベースに3D計測データを適合させることによって,年代,設計基準,配筋状況を特定するシステムの構築を試みる。
以上の結果をもとに,市町村が管理する橋梁の維持管理が効率的・効果的に行われる環境を創出する。

次年度使用額が生じた理由

当初,予定していた研究打合せや成果発表はオンラインで行った。また,現地調査や現地実験も移動制限により十分に実施できなかったため,旅費とフィールド実験のための消耗品の予算を次年度使用額とした。
令和3年度は,対象橋梁を宮崎県内あるいは宮崎市内とすることを道路管理者と調整済みであり,多くの既設橋梁にSfM技術を拡張するため,次年度使用額を旅費とフィールド実験のための消耗品の予算に充てる計画である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] 人工海水を用いた腐食環境下におけるZn-30mass%Al溶射皮膜の大気暴露特性2020

    • 著者名/発表者名
      中野敦、押川渡、米沢昇、森田千尋、白井敬大
    • 雑誌名

      鋼構造論文集

      巻: 27(106) ページ: 51~60

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 超音波探傷法を用いたコンクリート構造物の内部損傷の推定に関する研究2020

    • 著者名/発表者名
      浦田 幹康、松田 浩、永松 牧子、海部 貴裕
    • 雑誌名

      実験力学

      巻: 20 ページ: 179~186

    • DOI

      10.11395/jjsem.20.179

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Experimental and analytical study on the dynamic behavior of the deteriorated Bailey bridge2020

    • 著者名/発表者名
      Thavone Khounsida, Takafumi Nishikawa, Shozo Nakamura, Toshihiro Okumatsu, Douangmixay Dounsuvanh
    • 雑誌名

      鋼構造年次論文報告集

      巻: 28 ページ: 771~777

    • 査読あり
  • [学会発表] UAVを利用した橋梁点検におけるSfMによるひび割れ幅計測手法の検討2021

    • 著者名/発表者名
      本多雅匠、森田千尋、安井賢太郎、出水享
    • 学会等名
      令和2年度土木学会西部支部研究発表会
  • [学会発表] 日射が鋼ランガートラス桁橋トラス桁部の温度変化に与える影響の照査2021

    • 著者名/発表者名
      友廣健太、奥松俊博、中村聖三、西川貴文、木村晃彦
    • 学会等名
      令和2年度土木学会西部支部研究発表会
  • [学会発表] 遠隔橋梁長期観測のためのデータ送受信モジュールの構築2021

    • 著者名/発表者名
      山口嵩生、西川貴文、奥松俊博、中村聖三
    • 学会等名
      令和2年度土木学会西部支部研究発表会
  • [学会発表] 10年間大気暴露した亜鉛アルミ擬合金溶射皮膜の大気腐食挙動に関する研究2020

    • 著者名/発表者名
      白井敬大、中野敦、森田千尋、押川渡、米沢昇
    • 学会等名
      土木学会第75回年次学術講演会
  • [学会発表] 復元設計に着目した3D計測の利活用について2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木航作、大山智也、伊勢田幹太、山口浩平、松田浩、出水享
    • 学会等名
      土木学会第75回年次学術講演会
  • [学会発表] 3D 計測を用いた橋梁点検に関する研究2020

    • 著者名/発表者名
      伊勢田幹太、出水享、松田浩、古賀掲維、山口浩平
    • 学会等名
      土木学会第75回年次学術講演会
  • [学会発表] 複数のパッチ画像を用いたCNNによる耐候性鋼材のさびの外観評価2020

    • 著者名/発表者名
      有村和也、重井徳貴、森田千尋、石塚洋一、宮島廣美
    • 学会等名
      第22回日本知能情報ファジィ学会九州支部学術講演会

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公開日: 2021-12-27  

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