研究課題/領域番号 |
20K04667
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
平野 廣和 中央大学, 総合政策学部, 教授 (80256023)
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研究分担者 |
佐藤 尚次 中央大学, 理工学部, 教授 (30162457)
鈴木 森晶 愛知工業大学, 工学部, 教授 (90273276)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | バルジング / スロッシング / 振動実験 / 構造と流体の連成解析 / 制振装置 / 貯水槽 / 耐震設計 |
研究実績の概要 |
本研究は、スロッシング、バルジングの二種類の異なった振動現象に対応し、かつ既存の貯水槽の耐震性向上を可能とする複合制振装置を実用化する事を目的としている。 本年度は、まず実用化に向けた制振装置の施工性の確認も併せて実施し、広く社会に受け入れられることを目指し、ステンレス製パネルタンク、FRP製パネルタンク、鋼板製一体型タンクの3種類に関してバルジング振動応答特性の比較を行った。熊本地震での被害調査、これに基づく振動実験ならびに構造解析結果を行った。 本研究により、壁面の剛性ならびにタンク全体で剛性のバランスが重要であることを掴んだ。特にステンレス製パネルタンクは、内部の補強材と壁面パネルの接続部で極端な剛性差があることから、特に隅角部が弱点となりここがバルジングによる破損発生箇所となると推定する。さらに同タンクは、静的な荷重を割り増しての耐震設計であることから繰り返し荷重の検討がなされていないので、設計上は引っ張り荷重のみの補強部材に圧縮力が生じて、座屈を起こすことも判った。FRPタンクも同様な傾向にあるが、外補強の効果があるように思われる。これに関しては、次年度の検討課題とする。これに対して鋼板製一体型タンク全体の剛性が高いこと、剛性がタンク全体でほぼ均一であることが特徴として挙げられる。特に壁面の固有振動数が地震波の領域外に位置するので、バルジング振動を生じる可能性が少ないと考えられる。 一方、バルジング対策案について制振装置の検討は、前述の隅角部が弱点になることから、ここに制振装置を設置することで該当する貯水槽の耐震化向上に効果があるものと考えられる。次年度以降、この隅角部に装着する制振措置の開発を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため大型振動台での実験は1回(2週間余り)だけであったが、FRP製タンクをバルジング振動で破壊することができた。現在、この破壊過程も検討している。 一方、数値解析(構造と流体の連成振動解析)は順調に進んでおり、ステンレス製タンク、鋼板製一体型タンクは解析面で十分に現象を再現できる様になった。
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今後の研究の推進方策 |
バルジング振動への対策が必要であるステンレス製パネルタンクおよにFRP製タンクの隅角部に制振装置を装着した場合の振動実験を中心に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による緊急事態宣言期間中の出張ができなかったため。
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