研究課題/領域番号 |
20K04668
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
永野 正行 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (60416865)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 地盤増幅 / 超高層RC造建物 / 曲げ梁理論 / 魚骨モデル |
研究実績の概要 |
当該年度では、以下の2項目について検討を実施した。①『地表断層を伴う大振幅パルス地震動の評価および各種パラメータによる影響評価』については、より一般的な地盤増幅の検討を目的として、大阪平野、首都圏における深部浅部地盤の増幅を考慮したパルス性地震動の入力評価を検討した。特に首都圏では深部地盤よりも非線形挙動を伴う浅部地盤の方がパルス性地震動の増幅に与える影響が大きいことを示すと同時に、超高層RC造建物の非線形応答に与える影響を評価した。②『汎用多質点魚骨モデルを用いた非線形地震応答解析モデルの開発』については、最初に汎用多質点魚骨モデルの基礎となる平均的な多質点曲げせん断モデルの構築に際し、梁理論に基づく曲げ変形を抽出し、元の平均的な多質点せん断モデルの一次固有周期、固有モードと完全に整合するモデルを作成した。次に前年度に整理した柱部材、梁部材の断面、非線形特性に基づき、多質点曲げせん断、せん断モデルの非線形特性の平均像と整合し、かつ階数、設計用ベースシア係数等のパラメータに基づき汎用性のある多質点魚骨モデルを構築した。柱、梁の曲げ、せん断剛性を全体挙動と整合するように調整し、かつ梁端のひび割れ、降伏時の曲げモーメントも多質点モデルのひび割れ、降伏時耐力と整合するように設定した。同時に、計算コードを修正し、P-Δ効果や大振幅の繰り返し応答時に想定される梁端部のスリップ挙動を考慮できるようにした。20、30、40、50階建ての超高層RC造建物の平均的な魚骨モデルを作成し、相模トラフ等で発生が予測される海溝型巨大地震時の地震入力時の地震応答シミュレーション解析を実施した。従来の武田モデルを用いた場合に比べ最大応答が1.5~2倍に増幅することを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終目標に向かって順調に検討を進めている。一部の成果については、建築学会シンポジウム、大会等への投稿を通じ、対外発表も行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
『地表断層を伴う大振幅パルス地震動の評価および各種パラメータによる影響評価』については、詳細な熊本市内の浅部・深部地盤構造モデルと波形インバージョン解析に基づく震源断層モデルを導入し、より現実的なモデルによる検討を進める予定である。数値計算法として震源極近傍までの地震動評価が可能な薄層法と、不整形地盤による波動伝播解析が可能な差分法を併用して、建物への入力となる大振幅パルス性地震動の評価を行う。 『汎用多質点魚骨モデルを用いた非線形地震応答解析モデルの開発』については、上記で評価した地表断層を伴う大振幅パルス地震動を入力として、1、2年目で開発した汎用型魚骨モデルの振動解析を行い、大振幅応答特性を把握する。大変形応答まで評価可能な汎用型魚骨モデルをデータベースとリンクさせ、地表断層を伴うパルス性地震動による超高層集合住宅の被災度分布を評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度は計算を大量に処理するための高機能なワークステーション購入に助成金を利用する予定である。
|