研究課題/領域番号 |
20K04671
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
倉橋 奨 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (60510899)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 2008年Wenchuan earhtuqkae / 強震動生成域 / 長周期パルス地震動の生成域 |
研究実績の概要 |
申請時における研究計画では、初年度は、2016年熊本地震、2014年長野県北部の地震、2008年岩手宮城内陸地震における地震動の生成メカニズムの解明としていたが、現在、2008年Wenchuan earthquakeにおける地震動の生成メカニズムの解析を進めている。この理由は、計画の地震より本研究の目的の対象データである、より長周期パルスおよび永久変位が明瞭に記録されかつそのデータが入手できているためである。 2008年Wenchuan earthquakeの解析では、当初の計画通りの理論的手法により地震動シミュレーションを行った。この解析に必要で、申請当初の計画に示している文献調査を含めた資料取集、震源モデルの構築を実施した。なお、地盤構造モデルの構築については、海外の地震であることから十分な資料取集ができなかったため、既往論文のものを使用している。地震動シミュレーションにより、地表地震断層極近傍に位置する観測点で得られている長周期パルスおよび永久変位を再現する震源モデルの構築ができている。現在、海外雑誌への論文投稿のための執筆を行っている。 本研究成果は、2020年10月に日本地震学会秋季大会にて口頭発表を行った。この際にいただいた質問、コメントは研究の推進、研究の発展に大変有益であり、これらのコメント等を踏まえて深堀をすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時における研究計画から対象地震を変更し、2008年Wenchuan earthquakeにおける地震動の生成メカニズムの解析を実施した。対象地震は変更しているが、研究内容や実施方法に変更はない。よって、「実地震の観測記録が再現される震源モデルの構築(長周期パルスの再現シミュレーション)の実施」について実施しているが、出張や出勤等の制限があり、当初の計画よりは進捗がやや遅れている。 2008年Wenchuan earthquakeの解析では、当初の計画通りの理論的手法により地震動シミュレーションを行った。具体的には、Kurahashi and Irikura(2010)による震源モデルを参考として、①より地表地震断層に沿った断層モデルの構築、②震源域周辺の観測点記録を用いた強震動生成域(Strong motion generation areas:SMGAs)の構築、③地表地震断層の極近傍観測点記録を用いた長周期パルス地震動の生成域(ここではLong-peirod generation areas:LMGAs と呼ぶ)の構築、④InSAR(干渉合成開口レーダー)による空間変位結果を参考に構築した震源モデル(SMGAs + LMGAs)の修正、を実施した。このために必要で、申請当初の計画に示している文献調査を含めた資料取集、震源モデルの構築を行っている。なお、地盤構造モデルの構築については、海外の地震であることから十分な資料取集ができなかったため、既往論文のものを使用している。 地震動シミュレーションにより、地表地震断層極近傍に位置する観測点で得られている長周期パルスおよび永久変位を再現する震源モデルの構築ができた。現在、海外雑誌への論文投稿のための執筆を行っている。なお、本研究成果は、2020年10月に日本地震学会秋季大会にて口頭発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
対象とする地震は変更および実施環境の変化により、当初計画より遅れているが、内容は大きな変更はなく進めることができると考えている。今年度は、2016年熊本地震と2008年Wenchuan earthquakeを対象として、申請書の計画の通り、構築した震源モデルを基に、長周期パルスおよび短周期地震動の生成メカニズムの関係性の分析を行う予定である。 具体的には、①短周期地震動の生成域からの長周期地震動の生成寄与の解明、②震源断層における震源破壊過程に起因する断層面上の個々の点のすべり角やすべり速度時間関数や破壊伝播速度の地震動への寄与(影響度)の解明を行う予定である。 最終年度(令和4年度)では、シナリオ地震においてこれらの成果を基とした地震動シミュレーションを実施し、予測結果と本研究での結果との比較・分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象とする地震は変更および出張や出勤等の制限等の実施環境の変化により、予算執行が予定通り行うことができなかった。また、大型計算機および資料作成用パソコンについても、今年度の実施内容の範囲では、既存の資産で実施できたため、購入を見送った。 一方で、令和3年度以降は、出張・出勤等の制限については流動的であるものの、解析は順次進めていくことが可能であるため、令和2年度予算計画分を含めた予算執行を行う予定である。
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