研究課題/領域番号 |
20K04672
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
川崎 佑磨 立命館大学, 理工学部, 准教授 (90633222)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 橋梁用免振ゴム支承 / 健全性評価 / 非破壊試験法 / AE法 / 弾性波 |
研究実績の概要 |
ゴム内部の損傷・劣化が存在するゴム支承に対して、地震による巨大な水平力などの衝撃力が作用した場合、その損傷・劣化箇所に応力集中して破断する可能性がある。また、地震後にゴム支承がどの程度損傷を受けたか、を評価する手法が確立されていない。その課題に対して非破壊試験法であるAE法を利用して弾性波検出を行い、ゴム支承の損傷に伴う特徴的なAE現象が検出可能か試みる。ゴム内部に鋼板が設置された場合でも、弾性波をゴム支承表面で検出可能であることが2020年度の取組みで明らかとなった。2021年度は、弾性波パラメータを利用した健全性評価指標の作成に有効な特徴量(パラメータ)を検討するために、地震による水平力(ゴム支承のせん断ひずみ量)とゴム内部の損傷度、AE現象の結果の相関を確認した。与えたせん断ひずみ量は、0%(載荷履歴なし)、100%、200%(ハードニング前)、300%(ハードニング発生後を見込んでいる)として、ゴム支承は、RB、LRBを計画した。各せん断試験を行ったゴム支承に対して繰返し圧縮載荷試験を行い、載荷試験中にAE法によるモニタリングを実施した。RB試験体について、せん断ひずみ量が増加するにしたがって、AE現象の検出数が増加することが確認できた。具体的には、AEヒット数が100%で106個、200%で114個、300%で255個検出された。特にせん断ひずみ300%は、せん断ひずみ100%、200%と比較して高いAEエネルギーの検出も確認され、内部に損傷を蓄積していると考えられる。これらはゴム支承内部の損傷度に相関があると考えられ、現在はその観察結果を解析している。また、解析的検討では、ゴムのみの試験体とゴム内部に鋼板を設置した試験体で弾性波伝播挙動の解析を行った。減衰係数を推定して実験時の波形と解析波形を比較したが、一部再現できないケースが存在した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で、実験資材(ゴム支承)の作製・搬入が遅れている。実験的検討では、現地測定を予定していたが、最適なサイトが見つからず測定できなかった。計画している残りの実験ならびに現地測定は2022年度で実行可能な量である。
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今後の研究の推進方策 |
概要に示した通り、RBのせん断試験前のAE測定、せん断試験、せん断試験後のAE測定、試験体の切断が完了している。現在、切断面の観察を行っている。LRB試験体は、せん断試験前のAE測定が完了しており、現在せん断試験の調整を行っている。その後は、せん断試験後のAE測定、試験体の切断、切断面の観察を進める。全体の結果から、橋梁用ゴム支承の健全性評価に有効な特徴量を検討する。現地測定については、自治体と調整中で、複数の測定可能なサイトを測定できる予定である。実験的検討から得られた結果を現地測定で適用して、評価可能か検討を進める。解析的検討では、減衰係数の算出式について、実験結果から再検討して実験で得られた検出波形の再現精度を再度検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に計画していた数カ所の現地測定の延期、ゴム支承のせん断試験の遅延によって、予定していた出張や資材の購入、レンタカー代などの執行ができなかった。2022年度には、当初予定していた現地測定数を増加させること、せん断試験が実施されることから、当該助成金も執行できる計画である。 なお、現地測定サイトの選定については既に実施中であり、自治体に直接依頼・前向きな返答をもらっている。遅延していたせん断試験は5月中旬に実施されることが決定している。
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