• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

シリンダ式の無周期・無動力鉛直免震装置の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K04676
研究機関国立研究開発法人防災科学技術研究所

研究代表者

山田 学  国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 主幹研究員 (10835763)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード鉛直免震 / パラレルリンク / 油圧シリンダ / アキュムレータ / 無周期 / 無動力
研究実績の概要

令和2年度実績として、既存の鉛直免震機構について文献調査を実施し、特長、性能、製造および施工コスト、耐久性、維持のためのメンテナンス作業等をまとめ、開発する免震機構の適用先の想定と、性能およびコスト目標を設定した。また小型の油圧シリンダと蓄圧器(アキュムレータ)について、荷重状態における特性試験を油圧サーボ型振動試験装置で実施し、今後の装置化に向けた基礎データを取得した。一方で、目標としている6軸方式の構造と、動作方法についての課題を早期に抽出するため、当初予定から先行して6軸パラレルリンクの小型モックアップ4台を製作した。ひとまずこの小型モックアップには、油圧式と比較して装置構成が簡易かつ低コストの空気圧方式を採用している。明治大学で加振試験を実施し、電磁弁と位置センサによる中間停止(初期設定動作)、加振後の原点復帰(復元動作)について、自動運転に関する知見を得た。しかしながら、重量物を積載した状態での鉛直方向の摩擦抵抗は想定よりも大きく、免震装置としての性能については解決すべき課題を残している。また、構造的にもパラレルリンクは中間位置において形状の自己復元性が無いため、ある程度の制御をかけるかシリンダの配置を検討する必要が生じている。
パラレルリンク複数台を一つの目的に使用する方式は、産業界でも調査した範囲では取り組まれておらず、免震装置を構成し加振試験を実施した意義、重要性は大きい。本方式のメリットは高価な直動機構(スライドガイド)を排除できることにあり、摩擦抵抗の問題を解消すれば応用範囲は大変広いと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

既存の鉛直免震機構について文献調査と装置単品の特性試験、6軸パラレルリンクの小型モックアップ4台の製作と加振実験からは多くの知見を得ることができた。学術発表・報告に関しては令和3年度以降、都度実施する予定である。

今後の研究の推進方策

6軸パラレルリンクの小型モックアップ4台の実験から、摩擦抵抗についての課題が明らかになった。これについては、油圧化である程度の改善が見込まれている。不足する場合は、パッキンの変更や油圧制御で摩擦を低減する手法があるため、これらを付加的に実施する予定である。一方、パラレルリンクは構造的に中間位置において形状の復元性が無い問題が明らかになった。これは、中間位置で自由度が高いため、水平方向にずれを生じ、これがシリンダの摩擦抵抗の増加や連結部分の負荷増加の原因となっている。解消の方針として、6軸パラレルリンクの構造について、節とリンクによる懸垂構造を付加することで、復元性を持たせるアイデアがある。これを小型のモックアップで確認していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

モックアップ部品の製作関係で予定よりも安価な支出となったため。次年度使用額についてはモックアップの改良に使用する。

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi