研究課題/領域番号 |
20K04687
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
西岡 英俊 中央大学, 理工学部, 教授 (50450747)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 洗掘 / 豪雨災害対策 / 直接基礎 / 河川橋梁 / 再供用可否診断 / 局所洗堀 / 極限支持力 / 地盤ばね定数 |
研究実績の概要 |
昨今の豪雨・台風災害の激甚化に伴い,河川を渡る道路橋や鉄道橋の基礎が洗堀により被害を受ける事例が増加している。これらの被害の中には,残留沈下・傾斜を生じて交通機能障害を生じたものの,完全な倒壊には至らず被災基礎を再供用することで早期に機能回復できた事例もある。本研究では,河川橋梁基礎が洗堀により沈下・傾斜の被害を受けた場合を対象に,再供用に必要とされる残存支持力がどのようなメカニズムで発現するのかを解明することを目的としている。 本研究では,異なる径のアルミ棒を混合して積み上げたものを模型地盤とする「アルミ棒積層試験装置」を用いた。具体的には,まず,被災前を想定して模型地盤を構築して基礎を設置し,鉛直荷重を漸増載荷して荷重変位関係および被災前の支持力を求めた。その後,再度同一条件で模型地盤を構築し,基礎を設置して死荷重を作用させた。この状態で洗堀を模擬して一部のアルミ棒を抜き取り,基礎に残留変位を生じさせる。ここから載荷を行って荷重変位関係および残存支持力を求めた。 2020年度は,局所洗堀状態を模擬して,基礎の一方の端部のみアルミ棒を抜き取った実験を実施した。その結果,洗堀規模が大きくなるほど被災後の残留変位量は大きくなるものの,再供用時の極限支持力自体の低下はほとんど生じないことが確認された。側面からの画像解析の結果,局所洗堀で一旦失われた基礎底面と地盤の設置部分が,載荷の進行とともに回復していることによって,極限支持力が回復するメカニズムを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である2020年度において,実際に洗堀被害を受けて大きな残留変位を生じたにも関わらず大規模な補強を行わずに残存支持力を期待して応急復旧した事例(2012年九州北部豪雨でのJR九州隈上川橋梁の復旧事例)に整合的な実験結果を得ることができ,実験手法を確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り,2021年度は底面反力の発現状況に着目した考察を行うため,底面の荷重分布を計測可能な実験装置を新たに製造し,類似の条件で実験を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,2020年度は現地調査および学会での情報収集の国内旅費の使用を取りやめ,2021年度に実施することとしたため。
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