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2022 年度 実績報告書

洗堀により沈下・傾斜を生じた河川橋梁基礎の残存支持力発現メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K04687
研究機関中央大学

研究代表者

西岡 英俊  中央大学, 理工学部, 教授 (50450747)

研究分担者 山栗 祐樹  金沢大学, 地球社会基盤学系, 研究協力員 (30972062)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード洗掘 / 極限支持力 / アルミ棒積層体 / 模型実験 / 剛塑性有限要素法
研究実績の概要

本研究では,河川橋脚基礎が沈下・傾斜の被害を受ける中規模災害後の再供用に必要とされる残存支持力がどのようなメカニズムで発現するのかについて,砂地盤を模擬したアルミ棒積層体を用いた模型実験を実施した。
基礎周辺のアルミ棒を順次取り出していくことで洗掘を模擬し,洗掘規模(すなわち土砂流出量)の増大に応じて,死荷重作用時の残留沈下・残留傾斜は増加する傾向が確認でき,洗掘深さが基礎幅の30%程度以下であれば,死荷重のみでは倒壊に至らないことを確認した。そして,この状態から,応急復旧を想定した条件(ジャッキ位置を残留変形後の桁中心位置ではなく,被災前の桁中心位置とする)で鉛直に載荷すると,その極限支持力(すなわち残存支持力)は,洗掘規模にはさほど依存せず,被災直後の残留傾斜が10度を超える場合でも,残存支持力はほとんど低下しないことを実験的に確認した。また,地盤の変位状況の観察結果より,このような挙動を示すメカニズムは,被災直後に死荷重によって沈下・傾斜が生じた場合でも,基礎直下地盤の破壊領域は限定的であり,残留沈下・傾斜の発生によってある程度安定した状態になったためと考えられる。このほか,基礎の極限支持力の評価に有効とされる解析手法の一つである,剛塑性有限要素法を用いて,模型実験の再現解析を実施した。定性的な傾向は実験と同様であることが確認されたほか,特に残留沈下・傾斜発生後の状態を初期状態とすることで,極限支持力の低下が生じにくくなる傾向が再現できたことから,観察から想定したメカニズムが妥当であることを示唆する結果が得られた。
これらの知見は,これまで被災後に経験豊富な技術者に基づく工学的な判断によって慎重に行われていた再供用可否判断について,再供用が可能であることを実証する力学的な根拠を与えるものである。再供用可能な条件が拡大し,より早期の応急復旧に貢献することが期待される。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] VERTICAL LOADING TESTS ON LOCAL SCOURED SPREAD FOUNDATION ON ALUMINUM RODS MODEL GROUND2022

    • 著者名/発表者名
      Sasaki Yuna, Nishioka Hidetoshi
    • 雑誌名

      International Journal of GEOMATE

      巻: 23 ページ: 17-23

    • DOI

      10.21660/2022.98.1472

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 剛塑性有限要素解析による局所洗堀地盤の極限支持力の検討2023

    • 著者名/発表者名
      山栗祐樹,小林俊一,西岡 英俊,平野 萌果,佐々木 優奈,西岡 英俊
    • 学会等名
      令和4 年度土木学会中部支部研究発表会
  • [学会発表] ワイブル曲線を用いた洗掘被災直接基礎の荷重変位関係のモデル化2023

    • 著者名/発表者名
      佐々木 優奈,平野 萌果,西岡 英俊
    • 学会等名
      第50回土木学会関東支部技術研究発表会
  • [学会発表] 異なる粒度分布のアルミ棒積層体を用いた局所洗掘被害後の直接基礎の残存支持力の検討2022

    • 著者名/発表者名
      平野 萌果,佐々木 優奈,西岡 英俊
    • 学会等名
      第57回地盤工学研究発表会
  • [学会発表] アルミ棒積層体を用いた河川橋脚基礎の局所洗掘・内部侵食被害後の残存支持力に関する検討2022

    • 著者名/発表者名
      平野 萌果,佐々木 優奈,西岡 英俊
    • 学会等名
      土木学会第77回年次学術講演会(京都)

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公開日: 2023-12-25  

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