最終年度は火山灰質粘性土を用いたフライアッシュ混合土におけるアロフェンの含有割合に着目して六価クロム溶出特性を研究した。 フライアッシュに対する火山灰質粘性土の混合割合を変えたフライアッシュ混合土を作製し,環告46号試験に準拠した液固比バッチ試験を実施した。その結果,アロフェン含有率が10%程度まではアロフェン増加による六価クロムの溶出量増加がみられたが,それ以上アロフェン量が増えても六価クロムの溶出は増えなかった。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果を以下に記載する。当初,再生資材や汚染土壌から溶出する重金属類を有機質土や火山灰質粘性土(以下,総称して「対象土」と呼ぶ)で吸着することを想定して研究は開始した。これらの土は物質吸着能が高いと考えられていたためである。対象土は高含水比で強度が小さいことから安価な改良のために,含水比の低下が可能なフライアッシュとの混合を検討した。 フライアッシュからは鉛や六価クロムなどの重金属類が溶出する可能性があったが,対象土によって十分に吸着できるものと考えていた。しかし,対象土とフライアッシュを混合した土(フライアッシュ混合土)からの六価クロム溶出量は,フライアッシュ単体よりも大きくなるケースがあることが明らかになった。この結果は想定外であり,その要因を検討することを優先した。対象土に特徴的な含有物として有機物(フルボ酸,フミン酸),アロフェンが考えられた。有機物やアロフェンの含有量が異なる自然土や含有量を人工的に調整した試料を用いて液固比バッチ試験によって検討したところ,アロフェン含有率が10%以下の範囲でフライアッシュ混合土からの六価クロムの溶出が増加することが示唆された。これらの結果より,再生資材や汚染土壌から溶出する重金属類が外部へ漏れるのを防ぐのには火山灰質粘性土は適切でないことが分かった。
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