研究実績の概要 |
令和2年度は,擬地盤における層区分AI推定の適用性と推定精度の調査を目的として実施した。福岡都市高速道路沿線の地盤情報の地盤統計学的空間特性に基づいて不陸や不整合を有する各種模擬地盤を作成する。この模擬地盤に対する各モデルの特徴や適用性について、不陸や不整合の状況、情報バイアスの存在との関係性について明らかにする。また、学習データの量と質による推定精度に与える影響を定量的に評価する計画であった。 上記目的のために,情報バイアスが明確な模擬地盤を作成し,本手法を適用させることにって得られるNNモデルとその推定結果の比較を行い,情報バイアスが推定結果に与える影響について数値実験により調査し,情報バイアスの程度と推定結果の対比により,NNを用いた地層区分推定法の適用限界に関する検討を行った。得られた知見は以下のとおりである。 1)傾斜のある地盤で同じ標高に中洲層と荒江層がある場合,N値にばらつきがなくわずかな違いさえあれば精度良く学習できることを示した。 2)同じ標高でN値にオーバーラップがない場合,N値の高い中洲層やN値の低い荒江層などのN値のばらつきの影響を受けることなく精度よく学習できる。 3)同じ標高でN値にオーバーラップがある場合,オーバーラップする場所で不正解がみられ学習精度が低下する。 4)異なる2層のN値のオーバーラップの関係から, 正解率の限界値を求めることが地層区分推定法の適用性評価手法として有効であることを示した。
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