研究課題/領域番号 |
20K04691
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
村上 哲 福岡大学, 工学部, 教授 (10261744)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 人工知能 / 機械学習 / 地盤情報DB / 精度評価 |
研究実績の概要 |
地盤情報DBに適用する人工知能を用いた地層区分推定方法を確立することを最大の目的とし,本研究では,過学習回避のためのL2正則化を適用するとともに,NNによる地層区分推定の適用性について調査した。具体的には,以下の3点について実施した。 (1) 過学習回避のためのL2正則化の本手法への適用方法の検討 (2) L2正則化による機械学習の実行とL2正則化パラメータ決定方法の確立 (3) 実地盤への適用と有効性の検証 全データ分け隔てなく学習時の判断材料とする通常NN法でも80%以上の正解率が得られたが,データを平均化して偏りを小さくし,推定位置に近いBDの情報ほど誤差が小さくなることを期待したD-Layer NN法の方がより高い正解率となることが確かめられた。このことから,地盤情報の有する情報バイアスを考慮することが,より良い推定結果を得るためには必要であると思われる。 D-Layer NN法の方がより良い推定結果を得ることが出来るが,これは言い換えると,DB内の地盤情報の空間的な密度によるところが大きい。今回行った地層区分推定に限らず,地盤情報の空間的な密度の充実が高度な利活用シーンを生むものと考えられることから,DB内で地盤情報が密なエリアでも,今後も地盤情報の蓄積を継続する必要があると思われる。 以上のことから,地盤情報DBに適用する人工知能を用いた地層区分推定方法の有効性を示すことが出来た。また、正解率90%以上と実用性の高い推定方法であり、実地盤へ適用を推進していくことが期待できると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度はこれまで構築してきた層区分AI推定法をバイアスを有する地盤情報のうち,特に異常値により左右されやすい推定精度をL2正則化の導入により向上させることができた。当初の予定通り実施できたことからおおむね順調に進んでいる。 コロナ感染対策により旅費や人件費の支出が出来なかったため,これを補うために物品の購入に予算を集中させました。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度の計画は,全域における層区分AI推定の実施と推定精度評価結果の調査である。 福岡都市高速道路沿線の全地盤情報を学習データとし、全域における層区分AI推定を実施する。実施した結果と当該地域において作成されている層区分断面と比較し、その有効性を確認する。特に、警固断層付近の層区分の不整合を正しく表現できているかについては、地域の高度専門技術者の意見を伺いながら、詳細に確認する。 最終年度であり,これまでの研究成果に基づいて、情報バイアスを有する地盤情報群による層区分AI推定とその精度評価指標の確立とその適用性を明らかにする。
|