令和2年度と3年度は粘土70%と珪砂7号30%の混合土に、有機と無機の水溶液およびこれらを混合したハイブリッド水溶液を添加し、動的締固め試験、一軸圧縮試験などの室内実験を行い、締固め密度を高める効果を検討した。さらに粘土のみで同じ水溶液を添加した膨潤量試験を行い、実用化する上で問題となる膨潤の大きさを検討した。粘土種類はNa型とCa型のベントナイト、アロフェンおよびカオリナイト、水溶液の種類は有機はアニオン性、カチオン性および非イオン性の界面活性剤を0.5質量%、無機は塩化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウムなどを0.1M、0.3Mおよび0.5M、ヘキサメタりん酸ナトリウムを20質量%である。ハイブリッド水溶液はアニオン性界面活性剤0.5質量%とチオ硫酸ナトリウム0.5Mの混合とした。動的締固め試験は仕事量540kJ/m3の乾燥非繰返し法、一軸圧縮試験は体積含水比(Vw/V)0.3、土粒子の体積率(Vs/V)0.5で静的に締固めた供試体を使用した。以上の結果、Na型ベントナイト混合土ではチオ硫酸ナトリウムの濃度0.3Mと0.5Mおよびハイブリッドに締固め密度を高める効果が確認されたが、その他の水溶液に明確な効果は認められなかった。Ca型ベントナイト混合土では、アニオン界面活性剤に効果が確認されたが、他の無機水溶液に明確な効果は確認できなかった。アロフェンやカオリナイトは水溶液種別に関わらず明確な効果は確認できなかった。令和4年度は埋戻し工事を想定した屋外締固め試験を行い、締固め密度、見掛けの粘着力および内部摩擦角の経時変化などを観察した。この結果、アニオン性界面活性剤0.5質量%、チオ硫酸ナトリウム0.5Mおよびそれらの混合水溶液で地盤強度が低下して締固め密度が高まること、低下した地盤強度は時間経過とともに回復する事が判明した。
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