R4年度に引き続き、樹木群密度と樹木群配置パターンを系統的に変化させたケースに対してundisturbed flowを代表速度とする提案手法の適用性を検討するため、(i)予備解析の実施と実験結果の再現性の確認、(ii)undisturbed flowの直接評価、(iii)undisturbed flowに基づく抗力係数の算出、(iv)(iii)で得られた抗力係数を用いた巨視的流動解析とその基本性能評価、を試みた。R4年度は(i)および(ii)の一部を実施したが、今年度は(ii)と(iii)を完了し、(iv)の一部を実施した。また、(ii)は基礎研究としては成立するものの、工学的には許容できない計算コストを要するので、将来的にそのコストを無くすことを目指して、「(v)機械学習による推定」も試みた。 (iv)については、試した限りでは、本研究アプローチの優位性を示しており、今後、残りのケースについても妥当性の確認を実施予定である。他方で(v)については、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)に基づくundisturbed flowの推定を試みたが、現状ではundisturbed flowの時間軸方向の揺らぎが大きい場合にその揺らぎを捉えられていない。ハイパーパラメータの設定に工夫の余地が大いにあると考えられ、引き続き検討を進め、改善を図りたい。 研究期間全体を通じて、undisturbed flowを代表速度とすることで障害物に作用する流体力の巨視的評価の精度を向上できることを、ある程度実証できたと考える。残された大きな課題はundisturbed flowのdisturbedされた流れ場からの効率的推定法の構築であり、今後は新たな研究課題としてこの点にフォーカスしてさらに検討を進めたい。
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