研究課題/領域番号 |
20K04704
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山上 路生 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80362458)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 河川の流量・流速観測 / 自律移動浮子 / 自動計測 |
研究実績の概要 |
浮子による流量観測をベースとし,GPSや水深計測ソナーといった新技術を組み合わせた自律航行型ロボット浮子を試作開発した.GPSを搭載した自律航行型ロボット浮子を河川に流下させGPSの位置座標データから流速を算出することで,リモート観測による接近困難な河川における安全計測,ボート型ロボットによる省人化および迅速な計測,GPSを使用することによる観測員の技術や主観に依存しない信頼性のある計測を目指した. 既存の計測手法や近年のロボットによる水域探査の現状を調査した上で、自律航行型ロボット浮子を試作しその計測システムの基礎原理を構築・改良した.GPSの位置座標データより得られる浮子の流下速度河川流速へと変換する補正式を考案し、試作機を用いた室内水路試験と実河川試験において検証した. 特に室内水路試験においては風速を考慮した補正式の導出に成功し,また流下中の浮子のヨー角が流下速度に及ぼす影響は大きくないことが示唆された.実河川試験においては50~220cm/sとより広い流速範囲での補正式の導出に成功し,自動観測試験では桂川において試作機を用いた横断面計測や単測線計測に成功した.電磁流速計の値と比較したその計測誤差は0.7~21.9%となり,実用化に向けた重要な成果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロボットボートの方法は、基本的な計測原理は確立できたが、位置検知にカメラを使うために大きな領域の観測が難しい。また高速流における制御も難しい。そこで昨年度取り組んだ浮子法にロボットボートで得た自律制御システムを組み込んだ,自動移動浮子を試作した。位置検知にRTK-GPSを搭載することで比較的広範囲の自動観測の基礎を構築した。 以上のように、浮子法をベースにすることで高流速への対応が進み、GPSを導入することで広範囲の領域を計測できるようになった。したがって、研究は順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
現状では水面流速を水深平均流速に変換して流量を評価しているが,その際に用いる流速分布式の適用性については課題が残る。そのため何等かの方法で水中の流速を検知する必要があると考えている。最終年度では,浮子を母船として子機による水中流速を計測する方法の基礎を確立することを目指す。
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