研究実績の概要 |
今後の地球の温暖化などによって海洋災害の激甚化が懸念されている。そこで波浪気候研究は基礎科学のみならず海洋災害の減災や将来の予測にとって重要である。波浪推算や再解析波浪データの活用は波浪気候研究に有用である。また波浪は海上風によって決定される。従って波浪気候の長期変動は海上風の長期変動の指標となるとも考えられる。 漂流波浪ブイは流れが強い外洋域でも波浪観測が可能である。従って再解析データ, リモートセンシングデータ,波浪推算モデルなどの検証に有効である。また波と流れの相互作用を調べるのにも有用である。ECMWF(欧州中期気象予報センター)によるERA5波高データは, 波浪気候研究に広く使用されている波浪再解析データである。これはERA-Interim(ERAI)再解析データを更新したものである。しかしERA5再解析データにおいても,その波浪モデルは海流の影響を考慮していない。Hisaki(2023)ではERA5波浪データ誤差の表層流速への依存性を評価した。さらにERAI再解析データと比べて, ERA5波高データがどのように改善したかについての報告をまとめた。高波高時における波高過小評価については改善が見られた。一方,ERAI及びERA5いずれの再解析データの作成には流れの効果が取り入れていない。従って流れに伴うERA波高の過大・過小評価には改善が見られなかった。また東シナ海を対象とした波浪研究についても,特に夏季における長期変動と台風の位置・頻度の長期変動との関連についても調べた。
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