研究実績の概要 |
本研究では,災害後の支援物資の割り当てやコロナワクチンの割り当てでも用いられた早いもの勝ちルールによる配分メカニズムを研究対象としている.同メカニズムにおける消費者の選択行動とその結果として実現する状態の特性を明らかにした上で,割り当ての効率性やコストを低減する情報提供方策や配分方策について検討している. 2022年度は主に以下の3つの課題に取り組んだ.第一に,2021年度に行った災害後の避難行動と避難施設への割り当てに関する研究成果を取りまとめて第69回北米地域学会(69th North America Meetings of the RSAI, Montreal, October, 2022)と第27回環太平洋地域学会(27th Pacific Regional Science of the Regional Science Association International,Kyoto, August, 2022)で口頭発表を行った.発表内容を論文として取りまてめて投稿プロセスに進む準備を行った.第二に,技術開発をともなう建設入札(具体的には,総合評価型入札と技術提案交渉方式)における事前投資と入札金額の選択問題を空間的WLオークションモデルとして定式化して,技術水準の異質性が消費者の選択行動と社会厚生に与える影響について理論分析を行った.分析結果として入札者の事前投資に関する技術水準と建設工事に関する技術水準が独立している場合には技術提案交渉方式に優位性があり,相関している場合には総合評価型入札方式に優位性があることを明らかにした.第三に,消費者が他の消費者の選択行動から財の価値について学習する状況をモデル化して均衡分析を行った.
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