研究課題/領域番号 |
20K04732
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川崎 智也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (30705702)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自律船 / シミュレーションモデル / 相互依存関係 / 船社 / 荷主 / ネットワーク / サプライチェーン |
研究実績の概要 |
(1) 自律船・自動船の開発状況と期待される波及効果の定性的把握 初年度は,自律・自動船の開発状況及びそれらの社会実装により期待される波及効果の検討のため,関連研究所,船会社などを対象にインタビュー調査を実施した.新型コロナウイルスの影響により予定していた海外調査は実施できなかったものの,国内調査は予定よりも充実したものとなった.結果として,主として自動化による船員削減のみならず船員スペースの有効活用による一隻あたりの輸送スペース増大が期待できることが分かった.また,固定費用が低減される可能性が高いため,船舶を頻度高く運航させることが可能であるという指摘が多かった.そのため,比較的中規模船舶を配備して船舶運航の頻度を増加させるという運航方法が考えられることが示唆された.これらインタビュー調査で得られた知見は次年度以降のシミュレーションモデルに考慮する予定である. (2) 船舶寄港パターンシミュレーションモデルの構築 初年度は,東アジア地域(近海輸送)を対象としてコンテナ船の寄港パターンシミュレーションモデルを開発した.本モデルを用いてOD間の需要,貨物時間価値,燃料費などの変化をシナリオとして船舶の寄港パターンの変化を分析した.結果として,OD間貨物需要が増大するとハブアンドスポーク型からポイントトゥポイント型のネットワークに移行する可能性が示された.また,船舶が自動化すると船舶の大型化が一段落する可能性も示唆された.これらの分析について論文を3件投稿し,国際ジャーナルに採択された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 関連ステークホルダーを対象としてインタビュー調査を網羅的に実施し,モデル構築に対する数多くの示唆を得られた.当初予定していた海外機関へのインタビュー調査は新型コロナウイルスの影響により実施できなかった者の,概ね研究計画書に記載した通りに実施することができ,ほぼ計画通りと判断できる. (2) 初年度に構築したモデルは船舶の自律化・自動化を明示的に考慮できていないが,ベースとなるモデルは構築でき,関連論文が国際ジャーナルに掲載されるなど,一定の成果は得られた.次年度は(1)のインタビュー調査で得られた知見をモデルに反映し,船舶の自律化・自動化の導入により船舶サイズや運賃にどのような影響が発現されるか詳細に分析する.
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も,当初の計画通り実施していくこととしたい.なお,次年度も引き続き成果の取りまとめ,論文の投稿に注力していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により,予定していた海外調査を一部実施できなかった.海外調査で得られる予定であったデータも入手できなかったため,データ分析に充当予定の人件費も当初の予定よりも余ることとなった.海外調査とそれに伴うデータ処理・分析は後ろ倒しで次年度以降に実施することとし,繰り越すこととした.
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