研究課題/領域番号 |
20K04734
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
松田 曜子 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90632711)
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研究分担者 |
上米良 秀行 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 契約研究員 (50470125)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地域防災 / 避難 / 気象・水文データ / オープンデータ / Visual Analogue Scale / ローカル・ナレッジ |
研究実績の概要 |
相次ぐ近年の豪雨災害を受けて,国交省が設置する危機管理型水位計など,防災情報技術を利用した防災施策が続々と導入されている.本研究では,これら既存の防災施策が合理的な情報を受けて合理的な判断を下す人間像を前提として成立していることを指摘し,そうではなく「人間は自らの避難行動について事前に学ぶことはできるが、とっさのときにはつい経験や感覚に頼って行動してしまう」というヒューリスティックな人間像を前提にした防災学習ツールの開発を,保健分野で確立されているポピュレーションアプローチを論拠に試みることを目的とした. 2023年度は,前年度から検討していた「直前周知メディア」の効果を,住民同士の会話が避難意思にもたらす効果として,Visual Analogue Scaleという手法を用いて計測する調査を実施した.その結果,メッセージアプリ上で交わされる住民どうしの会話の画面を見ることが,自治体からの避難指示など他の情報提示画面を見ることよりも一定程度避難意思の促進に寄与するという結果が得られた.これらの成果は,第42回日本自然災害学会学術講演会,第68回土木計画学研究発表会・秋大会にて口頭発表を行った. また,過年度に検討したパブリックデータとローカルナレッジを統合し,水害の学習に役立てる手法についても検討を行った.これらの成果は,EAEH2023にて口頭発表を行った. 今年度はこれらの成果のとりまとめとともに,「人間は本質的に依存しあうからこそ避難する」のであり,「自らの命を自ら守る」意識が常に避難意思と直結しているわけではないという考察にいたり,「ケアとしての避難」という着想に行き着いた.その考察については,IDRiM2023にて口頭発表を行った.
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