研究課題/領域番号 |
20K04737
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 弘司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30362320)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 電動キックボード / パーソナルモビリティ / 道路構造 / 不安感評価 |
研究実績の概要 |
本研究では,自動運転車,各種パーソナルモビリティ(以下,PM)と従来の自動車・自転車・歩行者の共存を見据えた将来の都市内道路空間のあり方,およびその道路空間に適した新たな交通制御手法について検討する.本年度は1.新たなPM導入に対する期待や地域の課題確認のための自治体アンケート調査,2.新たなモビリティのうち,電動キックボード(以下,EKB)との混在により生じ得る交通現象や利用者間の相互作用を実環境下での挙動分析により確認するための走行調査,3. EKB乗車時に利用したい通行位置選択要因を明らかにするためのアンケート調査を実施した. 1について,地域課題の中では,ラストワンマイルの確保,高齢者のモビリティ確保の重要度が高く,高齢者のモビリティ確保の手段として電動車椅子,ラストワンマイルの確保の手段として超小型モビリティ・ミニカーが期待されることがわかった.さらに,一定の人口規模を有し,かつ観光入込客数の伸び率が大きい地域においては,電動モビリティサービスの貢献期待度があると想定されることがわかった. 2について,EKBとの対面すれ違い走行実験より,すれ違う2者の離隔が大きいと走行の受容性は高くなり,不安感が低くなることがわかった.離隔距離が1.5m確保できる場合には2者の速度差によらず不安感が低くなること,また,EKBとすれ違う場合,自転車よりもEKBで走行する方が不安感が大きくなること,女性の方が男性よりもEKBによる走行の受容性が低く不安感が高いこと,さらには,年代により走行の受容性評価の差異が小さいことなどがわかった. 3について,EKB利用時の希望通行位置と個人属性や道路交通条件との関係性を分析した.歩車道区分がある道路では,路肩幅員が広いと路肩や車道走行を選択しやすく,区分のない道路では,歩行者交通量が多いと車道を,自動車交通量が多いと路側帯を選択することがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響を受けて海外渡航ができず,予定していたヒアリング調査が行えないため,研究活動が遅れることとなった.しかしながら,新型コロナの感染者動向を見極め,対策を徹底し,学外機関の協力を得ることで国内での走行調査や自治体へのアンケート調査を企画し,新たなモビリティ混在時の利用者挙動や意識,導入検討する行政側の期待感や課題に関する基礎的なデータを取得分析し,一定の研究成果を上げ,最終年度に向けた研究活動を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,自動運転車,各種パーソナルモビリティと従来の自動車・自転車・歩行者の共存を見据えた将来の都市内道路空間のあり方,およびその道路空間に適した新たな交通制御手法について検討するために,欧米諸国での実地調査に基づき,新たなモビリティ導入の際にクリアすべき法的問題,技術基準や対応策を明らかにすることを目的としている. 新型コロナ感染症の影響下があり,海外調査を行うことが難しくなることも想定されるが,最終年度は,新たなモビリティ導入の際にクリアすべき法的問題,技術基準や対応策についての海外事例収集を行い,また,過年度整理した利用者の挙動と受容性評価メカニズムを考慮した交通流シミュレーションを構築し,新たなモビリティ混在下の道路空間,周囲の交通流に与える影響についての研究を実施し,研究成果を取りまとめていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響を受け,海外調査が実施できなかったことにより,旅費・人件費等の使用が少なくなったため,次年度使用額が生じている. その分は3年目の研究活動において,当初予定していた英国への渡航費,実験施設使用料ならび現地で取得した映像等の解析補助の謝金として使用する.
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