本研究では,自動運転車,各種パーソナルモビリティ(以下,PM)と従来の自動車・自転車・歩行者の共存を見据えた将来の都市内道路空間のあり方,およびその道路空間に適した交通制御手法に関する基礎的検討を実施した.最終年度は1.過年度実施したPM導入に関する自治体アンケート調査の詳細分析,2.電動キックボード(以下,EKB)との対面すれ違い時の挙動と利用者評価に関する実験分析,3. 自動運転バス(以下,AB)混在下の交通流に関する観測調査及びドライビングシミュレータ(以下,DS)実験評価を実施した. 1について,近畿地方の自治体の方が電動モビリティサービスの検討割合が高い傾向にあること,また地域課題の中では,高齢者のモビリティ確保の重要度が高いことは共通であるが,その他の課題については,地方によって重要度の傾向が異なることがわかった. 2について,属性別分析より,男女別ではすれ違い時の離隔距離に大きな差がなく,EKB同士のすれ違いでは回避開始は女性のほうが遅い傾向にあることがわかった.また,普段自転車に乗らない人のほうが離隔距離がやや大きいことや回避開始が早いこと,バイク免許保有者のほうが離隔距離が大きく,回避開始が早い傾向にあることが示された.一方,歩行者と電動KBの被験者の立場によってすれ違い時の不安感や受容性が異なることや普段の車の運転特性が被験者評価に有意に影響することが示された. 3について,前車がABのときの追従では危険な挙動が少なく,車間距離が大きくなると追従する意識が強い傾向を示した.また,信号交差点では,進入時に多くのABの後続車両は一定の車間距離を空けるなど,ABとの混在時には余裕を持った挙動を示しやすいことがわかった.DS実験より,AB速度が40km/h,交通量が多い,AB速度差,車間距離が大きいとABに対して被験者は肯定的な評価を取ることが示された.
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