研究課題/領域番号 |
20K04763
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研究機関 | 鹿児島工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山田 真義 鹿児島工業高等専門学校, 都市環境デザイン工学科, 准教授 (80469593)
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研究分担者 |
黒田 恭平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (50783213)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メタン発酵 / 有機性廃水 / 一槽型CSTR/ABR / UASB-DHSシステム |
研究実績の概要 |
本研究は低温高濃度有機性廃水を対象とした20℃以下における低温メタン発酵を試み、余剰汚泥を最小限に留めながら嫌気性処理法の安定化を図る。同時に嫌気性処理後には無曝気省エネルギー型DHS反応器を配置し、UASB-DHSシステムを高タンパク質高濃度有機性廃水にも適用廃水種を広げる研究である。また新たに考案した一槽型CSTR/ABRを開発する要素もあり、これが可能となった場合、廃水のSS濃度に関わらず、メタン発酵が可能となる。本年度は、Continuously Stirred Tank Reactor(CSTR)とAnaerobic Baffled Reactor(ABR)を組み合わせた有機性廃水処理システムの開発を目的として、中温(37℃)条件下での醤油製造廃水の連続処理実験を行い、処理性能の検討を行った。また、低温(20℃)UASB-常温DHSシステムを用いたでん粉製造廃水の連続処理実験を行い、処理性能の検討を行った。一槽型CSTR/ABRは反応槽液容量が20 L(CSTR部15 L、ABR部5 L) とし、中温(37±2℃)に維持した。槽内の撹拌は機械撹拌方式とした。植種汚泥には下水処理場の消化汚泥(活性汚泥浮遊物質濃度18.1 g/L、活性汚泥有機性浮遊物質濃度12.4 g/L)を20 L用いた。連続処理実験開始時は定期的にグルコース (10 g/L) を投入し立ち上げを行なった。低温UASB-常温DHSシステムはUASB反応器の液容積10 Lとし、DHS反応器は44 Lの容積に対し、スポンジ充填率が47%になるようにスポンジを充填した。UASB反応器はウォータージャケットにより20℃で管理し、DHS反応器は常温とした。2つの異なる処理システムの連続処理実験を行い、温度、pH、COD濃度などの測定を行い、処理性能を調査し、当初目標としていたCOD除去率は得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
醤油製造実廃水を対象とした一槽型CSTR/ABRの連続処理実験を行い、連続処理実験データの取得ができている。また、低温UASB-DHS処理システムによるでん粉製造廃水を対象とした連続処理実験を行い、連続処理実験データの取得ができている。また、でん粉製造廃水を対象とした低温CSTR/ABRによる連続処理実験を開始するための準備が完了し、今後、連続処理実験データを取得する。
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今後の研究の推進方策 |
提案したUASB-DHSシステムおよび一槽型CSTR/ABR-DHSシステムのスタートアップ時、処理の安定・不安定時、休止時における保持汚泥の16S rRNA/16S rDNA解析を行うことで、保持汚泥中の微生物生態だけでなく、各運転性能が変化した際に生理活性を高く維持している微生物群を特定する。具体的には、連続処理データを基にして、UASB-DHSシステムおよび一槽型CSTR/ABR-DHSシステムの処理性能に変化が現れた際に保持汚泥を採取し、-20℃、-80℃で保存する。保存した汚泥からそれぞれ、RNA、DNAを抽出し、原核生物を対象としたプライマーセットを用いた高速シークエンサーMiSeq (Illumina)による16S rRNA/16S rDNA解析を行う。水質データを照らし合わせ、処理の安定・不安定時などにおいて指標となる微生物群を推定する。メタン生成活性試験により、ガス生成、有機物増減などの物理化学的データを取得する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は新型コロナウイルスの影響で予定していた菌叢解析の一部を実施することができなかった。そのため未使用額は次年度の菌叢解析の物品費に充てることとする。
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