研究課題/領域番号 |
20K04766
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研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
鈴木 和将 埼玉県環境科学国際センター, 資源循環・廃棄物担当, 専門研究員 (70379824)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 廃棄物最終処分場 / 連成解析 / 数値シミュレーション / 数値解析 / テストセル / PRB / 間隙構造 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、以下のような研究を行った。 (1)処分場内部反応メカニズムにおいて、浸透性反応層(Permeable Reactive Barrier: PRB)による内部水の有害物質の捕捉機構に着目し、検討を行った。鶴ヶ島土壌、グラインダーダスト、溶融スラグを混合した覆土材料のカラム試験吸着試験結果とFreundlich型の数値解の偏差の二乗の総和が最小となるように繰り返し計算を行い、パラメータの最適化を行った。Simplex methodに基づいた自作コードにより解析を行い、吸着パラメータを取得した。次年度、これら得られた結果をベースに、模擬処分場(テストセル)内部現象の数値シミュレーションへと展開する。 (2)埋立層内の固体―流体連成問題について、埋込境界法を用いた数値解析を行った。流体の支配方程式は、Navier-Stokes式、連続の式を用い、差分法によって離散化し、SMAC法を用いて流体方程式の計算を行った。圧力Poisson方程式はGPBi-CG法を用いて解いた。粒子の運動方程式は、ニュートンの運動方式を用いた。 (3)埋立層内部間隙構造解析では、廃棄物試料のマイクロフォーカスX線CTデータから、間隙の幾何形状に関する詳細かつ定量的なデータを得ることができた。焼却灰及び埋立地コアサンプルのポア、スロート、配位数などの幾何情報だけでなく、空隙中心軸(medial axis)とその過程で得られる連結経路(connecting path)あるいは屈曲度(tortuosity)といった三次元幾何学的情報を得た。これらの結果は、パーシステントホモロジー解析や数値シミュレーション結果と組み合わせることにより、詳細な内部現象の解析が可能となると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
間隙形状のメッシュ作成のための画像処理に手間取っている。間隙形状を三次元化したSTLのクオリティの問題であると考えられるため、今後セグメンテーションソフトウェアの検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2022年度は、これまで構築してきた連成解析を適用して、廃棄物処分場のパイロットスケールプラントであるテストセルの数値シミュレーションを行い、実験レベルの埋立現象を再現する。テストセルのモニタリングデータと数値解析結果を比較することにより、内部現象に支配的な原理・原則を明らかにするとともに、必要なモデルの修正を行う。さらに、パーシステントホモロジー等の間隙構造解析結果を統合することにより新しい数理モデルを構築し、本研究の目標達成につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により出張が制限され、旅費の支出が少なかった。これらの費用は、次年度に繰り越し、課題となっている画像処理のセグメンテーションソフトウェアのレンタル費用に使う予定である。
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