廃棄物最終処分場内部では、異なる物理・化学プロセスが相互に影響し合い、複雑な様相を呈する。具体的な連成現象として(1)内部浸透水の移動と汚染物質の化学反応の連成(2)不飽和状態における自由界面問題(3)内部間隙構造を形成する廃棄物粒子と流体の構造連成などが挙げられる。本研究では、これら異なる現象の連成解析に適切な数値シミュレーション手法を構築していく。さらにそれらを統一的な視点から整理し、様々な廃棄物問題に対応できる枠組みを構築することを目的とする。これまで、これら個々の連成問題に対する数値解析手法の構築に取り組んできた。最終年度は、これら開発したプログラムをベースに、模擬処分場(テストセル)内部現象の数値シミュレーションへと展開した。処分場内部メカニズムは、浸透性反応層(Permeable Reactive Barrier:PRB)による内部水の有害物質の補足機構に着目した。数値計算に用いた吸着パラメータは、カラム吸着実験結果からSimplex法によって決定した。支配方程式は、吸着移動過程を組み込んだ移流分散方程式を用い、数値シミュレーションを実施し、テストセルの長期モニタリングデータと数値解析結果を比較検討を行った。 これらのアプローチにより、パイロットスケールレベルの埋立現象を再現することができたことが本研究の成果である。
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