研究課題/領域番号 |
20K04771
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤永 隆 神戸大学, 都市安全研究センター, 准教授 (10304130)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | CFT構造 / 柱梁接合部 / 柱継手 / 孔あき鋼板 |
研究実績の概要 |
柱梁接合部に梁貫通形式接合を用い,柱継手に孔あき鋼板リブを用いた継手を用いたコンクリート充填鋼管構造(CFT)の構造システムを提案し,その構造性能評価法を提示することによって,CFT構造を中低層の建築物へ使用拡大をすることを目的として,2021年度は,1)孔あき鋼板を用いたCFT柱継手の性能検討と2)貫通形式CFT柱梁接合部の接合部性能の検討,を行った. CFT柱継手については,2020年度に行った孔あき鋼板の引抜き実験の結果より,孔あき鋼板の引抜き耐力評価法の検討を行った.また,柱継手に用いる際にコンクリートの二面せん断耐力を確保するために新たな孔形状の孔あき鋼板として長孔形状の孔をもつ孔あき鋼板の引抜き実験を行った.コンクリート強度と孔形状を実験変数にとり,29体の実験を行った.孔の二面せん断面積と引抜き耐力に相関関係があることを示した.また,添付したひずみゲージより応力分担の割合を検討し,最大引抜き耐力時にはほとんどの軸力分担を孔部の二面せん断でふたんしていることを確認した. 貫通形式CFT柱梁接合部については,今年度は柱の断面形状を円形として,柱に軸力を導入して,軸力比と柱鋼管の径厚比をパラメタとして実験をおこなった.接合部全体の荷重変形関係は,軸力比や径厚比の大小によらず紡錘形状の安定した履歴形状を示しており,鋼梁の曲げ耐力が十分に発揮されていた.鋼梁周辺の柱鋼管のひずみを観察すると,柱断面形状が角形の場合に観察された応力集中が観察されず,鋼管周方向の引張抵抗が曲げ引張側の応力伝達に寄与することがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね順調に進展しているが,やはりコロナ禍の影響で2020年度前半は実験室の使用ができなかった影響がやや残っている.進捗状況を予定通りに戻すべく努力している.
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今後の研究の推進方策 |
引き続いて新しい接合方法によるコンクリート充填鋼管構造(CFT)の構造システムを提案するため,1)梁貫通形式CFT柱梁接合部と,2)孔あき鋼板を用いたCFT柱継手の検討を行う. 梁貫通形式柱梁接合部については,これまでは鋼梁で耐力が決定されるディテールの実験を行ってきたが,2022年度は柱鋼管が角形,円形の両方とも,鋼管の板厚を薄くすることで,曲げ圧縮時には局部座屈の発生がしやすく,曲げ引張側では応力集中が起こりやすい状況での実験を行う.これまで柱鋼管側での破壊を想定された実験はないため,貴重な実験データとなり得る. 孔あき鋼板を用いた柱継手については,新たな孔形状である長孔の孔あき鋼板を用いたCFT柱継手の引張実験を行い,柱継手としての引張耐力について検討する.また,これまで行ってきた孔あき鋼板の引抜き実験の結果を用いて,孔あき鋼板の引抜き耐力の評価を提案し,提案耐力を用いることによって柱継手の耐力評価を試みる.
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