研究課題/領域番号 |
20K04773
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
大谷 俊浩 大分大学, 理工学部, 教授 (00315318)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | コンクリート / フライアッシュ / 中性化 / 塩分浸透抵抗性 / 複合劣化 / 鉄筋腐食抵抗性 |
研究実績の概要 |
石炭火力発電所で発生する副産物のフライアッシュは、水酸化カルシウムと反応して硬化するポゾラン活性を有し、コンクリート用混和材としてセメントと代替することによって、長期的な組織の緻密化や強度増進によってコンクリートの耐久性の向上と環境負荷の低減が期待できる材料である。フライアッシュを混和したコンクリートは鉄筋の腐食を招く塩分の浸透抵抗性が高まることは知られているが、中性化が進行した場合における塩分浸透抵抗性については明らかになっていない。そこで本研究では、フライアッシュを混和したコンクリートの中性化が塩分浸透抵抗性および鉄筋腐食抵抗性に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、フライアッシュ置換率0%、10%および20%の3水準の調合において、中性化していない供試体と中性化している供試体に対して塩水浸漬試験および塩水浸漬繰返しによる鉄筋腐食抵抗性試験を実施する。初年度は、実験に使用するコンクリートの供試体の作製と、養生期間が材齢28日の供試体について実験を行い、また中性化した条件とするために促進中性化試験を行った。その結果、フライアッシュ置換率が高いほどコンクリートの電気抵抗率が高くなること、塩水浸漬繰返し30週の現時点で、自然電位については明確な変化や違いは見られていないが、かぶり厚さ10mmにおいてフライアッシュ無混和のみ腐食速度の増加がみられ、鉄筋が腐食傾向にあることを確認した。今後は中性化させた供試体および長期養生を行った供試体による同様の実験を行い、比較検討することで、上記の影響を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症による影響で、実験を行うためのコンクリート供試体が当初の予定より2ヶ月近く遅れたため、学会で発表できる範囲のデータの収集ができず、当初予定していた令和2年度の建築学会九州支部および令和3年度の建築学会への研究成果の発表が間に合わなかった。その後の実験は順調に進んでいることから、今後、成果がまとまり次第、順次、成果発表を行っている予定である。
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今後の研究の推進方策 |
実験に必要なコンクリート供試体は、すべて昨年度作製が完了している。実験では、塩水浸漬試験、塩水浸漬繰返しによる鉄筋腐食試験、促進中性化試験を行うが、いずれも昨年度の実験で特に問題なく進行できている。ただし、細孔径分布の測定を依頼していた機関の測定装置が昨年度末に廃棄処分となり、他の測定機関に依頼することによる測定費用の高騰が考えられるため、測定する試料について選定して実施する必要がある。
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