研究課題/領域番号 |
20K04774
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
吉中 進 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70401271)
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研究分担者 |
山川 誠 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (50378816)
藤原 淳 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 主幹研究員 (80817049)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 制振 / 耐震補強 / 体育館屋根 / TMD / ケーブル / 振動台実験 |
研究実績の概要 |
2022年度はまず2021年度に製作したTMD単体の振動性状を確認するための振動台実験を早稲田大学で実施した。次に2個のTMDを設置したスパン5mの山形体育館縮小模型の振動台実験を行い,①TMDの設置位置と作動方向,②加振する地震波,③体育館柱脚の損傷の有無,をパラメータとしてTMDの制振効果を確認するための振動台実験を東北大学で実施した。計測は試験体各部の加速度,柱頭の変位,TMDの相対変位とした。実験の結果,製作したTMDは解析結果とほぼ同様の制振効果を得られることが分かった。また体育館縮小模型の地震時応答性状はTMD装置の性状を良く反映していることが分かった。 本研究は,1.TMDを用いた山形体育館縮小模型の振動台実験,2.ケーブルの非抗圧性に着目した空間構造の耐震補強,3.TMDとケーブルを併用した空間構造の統合型応答制御,で構成される。このうち1.については,2022年度に実施したTMDを空間構造に設置した大規模振動台実験は研究代表者の知る限り世界初の試みであり,今回の実験の成果は極めて大きいと考えている。実験で得られたデータを有効に活用し,実際の構造物に適用することを目標として研究を継続していきたい。2.については,2次元アーチモデルを対象に耐震補強方法を提案し,補強効果を解析的に確認した。さらに3次元円筒ラチスシェルに適用する方法を提案し,効果を解析的に確認した。以上の検討の結果,非抗圧性部材を用いた場合の減衰特性が振動性状に与える影響が大きいことが分かった。一方でこの点についてはまだ既往の研究で十分に明らかにされていないため,3層3スパンの小型のフレームを用いた自由振動実験により減衰特性を確認した。3.については,現在は1.と2.の個々の手法の特性を詳細に分析している途中段階にあるため,今後十分に特性を把握した後に取り組む予定である。
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